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佐久間くんと小磯くん達の日常

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背中あわせ

「健二、起きろ」
「…むにゃ」
「風邪ひくぞ?」
「もう少しぃ…」
 健二はただいま幼馴染であり同居人の背中を借りてお昼寝中だった。何故こうなったのかと言えば、気持ちよかったただそれだけである。始まりは本当に偶然だった。この頃佐久間は何かと忙しくてあまり会えなかった。アバター達もOZの世界に行っているため、健二は一人でいることがこの1週間多かったのだ。ただでさえ寂しがり屋なところがある健二。それに加えて結構頑固だったりするものだから自分では寂しいなどということはいうことがない。
 そんな健二が久しぶりに会った同居人。それを健二が逃がすはずがなかった。
 佐久間は健二がいることに気が付かなかった。パソコンと格闘していたのだから。
「ここがこうなって…。でもこれって。ああ、こうすればいいのか」
 考えに集中して、甘えっ子の幼馴染が後ろにきたことなんて佐久間は気がついてなかった。
「やっとお…わった?」
 パソコンと格闘して約3時間ぐらいか。佐久間はやっとパソコンから目を離す。そして気が付いた。背中に重みを感じるのを。
「…ありゃ」
 そこにいたのは健二。気持ちよさそうに眠っていた。
「おーい、健二さーん」
「…さく…ま?」
「ああ、オレだ。なんでお前ここに眠ってる訳?」
 佐久間の質問に健二はボソボソというが上手く聞き取れない。
「健二、もうちょっと大きい声で言ってくれるか?」
「だってさ」
「だって?」
「寂しかったんだ」
 佐久間の背中の頭をぐりぐりーと押しつける健二。そういえばと思う。自分はOZの仕事で忙しくて余り相手をしてやらなかった気がする。そして、運が悪いことに、今回アバター達は三人ともメンテナンスのためOZに戻っていたのだ。
「…あー、悪かった」
 人一倍寂しがり屋な幼馴染。一人でいることには慣れていても、一人でいることが好きではない。佐久間は健二の頭を力一杯撫でる。
「いたいよー」
 それでも嬉しそうな健二に佐久間は苦笑した。
「健二」
「何?」
「寂しかったのか」
「うん」
 一人は小さいころのことを思い出すから。嫌な思い出しか…ないから。
「そっか」
 会ったばかりのときの健二を佐久間は今でも覚えている。一人でいることが怖い。誰か側にいてと体中で叫んでいた。
「うっし。お詫びに何かしてほしいことないか? 今ならなんでもしてやろう」
「なんでもいいのか?」
「ああ、ほっといたのも事実だからな。でも」
「でも?」
「何か奢れとかはなしだ。オレは貧乏だからな!」
「いばることじゃないでしょ?」
 クスクス笑う健二。少しは機嫌が直ってきたようだ。
「そうだなぁ」
 健二は考えるが、あまりいいことが思いつかなかった。だから。
「じゃ、このまま一緒に寝ない?」
「へ?」
「だって、佐久間もあんまり眠ってないんでしょ? だったら、ここで一緒に眠ろうよ」
「そうだなぁ」
 幼馴染の誘惑は今の佐久間には避けられないものだった。眠気がピークに達していたのだから。
「…寝るか」
「うん」
 そういって二人は夢の国へ入ってしまった。

『寝てますねぇ…』
『ですね』
『あー。毛布も掛けないで。ケンジ。毛布持ってこれるか?』
『うん、わかった。けんじも手伝ってくれる?』
『了解〜』
 二人は自分のマスターにかける毛布を取りに出る。
『まったく、いつから寝てたんだよ』
 そう言って、サクマは笑った。メンテナンスが終わってから、三人で家に戻ってきた。そしてら、マスター達が二人揃って眠っていた。佐久間が仕事をやっていたことは知っていたが、何故ここで健二と眠っていたのかは謎だ。
『それにしても、いい顔してる』
 二人とも仰向けになっていてお互いの手を握り合っていた。
『サクマー。これでおいいのかなー』
『ちょっときてよー』
『ああ、待ってろよ』
 声のする方へとサクマは飛んでいった。

 残った二人はそんな喧噪も気にせずにただ優しい眠りの中に。

 突然の来訪者
 
 そろそろ夕飯だという時間。玄関から呼び出し音がなった。
「健二、手が離せないから出てくれないか」
「了解。野菜炒めの皿はそこに出してるからね」
「ああ、さんきゅー」
 そういって、中華鍋を簡単に振りながら佐久間は野菜炒めを作る。健二は言われた通り玄関に向かう。それを見た佐久間は周りでサポートしてたサクマに一言ボソリと言った。
「サクマ、写真よろしくー」
『OK』
 サクマはふわふわと健二の後ろをついていった。
「楽しみだな」
 にやりと笑いながら、今日の夕飯を炒める佐久間がいた。
「はーい」
 健二が玄関に行き、ドアをあける。そこにいたのは。
「あれ? 佳主馬くん」
「…ちょ、なんで健二さんがいるの!」
 それもふりふりのエプロン付き。
「なんでって…。ここ僕のうちだよ?」
「いや、そうなんだけど! 今日は佐久間さんにいないって聞いてたんだけど?」
「ああ、用事はあったけど。でも、急にキャンセルになっちゃったんだ」
 笑顔の健二。それを顔を真っ赤にして健二を見ている佳主馬。対象的である。
「佐久間に用事だったの?」
「まあ…」
「佳主馬くん、夕ご飯は?」
「あ、まだだよ」
「じゃ、一緒に食べようか。キングは?」
「ここにいる」
 携帯の中からキングがペコリとおじぎをした。
「ここは出しても問題ないからね。けんじとケンジもキングに会いたがっていたよ」
「二人は?」
「ん? 佐久間のお手伝い。どうぞ」
「お…邪魔します…」

「おー、佳主馬くん」
「佐久間さん! なんで、言ってくれないんですか!」
「え? 何が?」
『この人、やっぱり僕で遊んでるな』
「健二さんが今日いるってことですよ!」
「いや、黙ってた方が面白いかと思って」
「……」
 佐久間の言葉に佳主馬は佐久間を睨むしか出来なかった。そこに来たのはサクマ。
『マスター、いいもの撮れたぜ』
「御苦労!」
 この会話に佳主馬は不穏な空気を感じたが突っ込むことは出来なかった。
「健二、ここはいいから佳主馬くんの相手してあげて」
「わかった」
「もう出来るから。あ、佳主馬くん」
「なんですか?」
「キング出してくれない? ここの手伝いをけんじとケンジにも手伝ってもらってるし」
「わかりました」
 携帯からキングを出す。
「じゃあ、リビングいこうか」
「はい」
「キング、佐久間さんの手伝いね」
『了解しました』

 台所からリビングに移動した二人。
「けど、びっくりしたー。佳主馬くんがいるんだもん。今日学校は?」
「…学校行ってから、ここに来たの。名古屋から東京なんて新幹線ですぐだよ」
「今日、泊るところは?」
「夏希姉さんの家に泊るけど…」
「そうなの? じゃあ、うちに泊まればいいんじゃない?」
 と佳主馬にとっては爆弾発言な健二の言葉にわたわたする。
「ちょ、それは…」
「ダメ?」
 上目づかいで天然の健二。無意識でやっていることは確かである。それに振り回される佳主馬はある意味不憫である。
「えっと、その」
「泊っちゃえばいいじゃん!」
 後ろから健二を援護するように聞こえた声は佐久間。
「佐久間さん!」