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さくべーですよ!

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悪魔は、どっち?



ベルゼブブは魔界の城の一室でくつろいでいたが、携帯電話に届いた佐隈からのメールを読んで気分が一変した。
しばらくしたら召喚するというメールである。
事前に召喚を知らせるメールが届くことは別にめずらしくはない。
だが、その文面がいつもと違う。
文章がくだけていて、絵文字なども使われている。
なんだこの、ご機嫌っぽいノリは……。
ベルゼブブは嫌な予感がした。
その頭上に魔法陣があらわれる。
拒否したい。
そう思ったものの、魔法陣に引き寄せられるのにあらがうことはできない。
ベルゼブブはしぶしぶ魔法陣へと行った。
魔法陣を通り抜けると、そこは人間界である。
しかし、芥辺探偵事務所ではない。
けれども、見覚えのある部屋だ。
「ベルゼブブさん!」
部屋の主が明るく呼びかけてきた。
「お待ちしてました〜」
佐隈である。
開いたグリモアを持って、床に書かれた魔法陣の近くに立っている。
ルームウェアらしい軽装だ。
そして、さっき届いたメールから想像したとおり、ご機嫌な様子である。
あきらかに。
酔っている。
ベルゼブブは頭痛を感じた。
「さくまさん」
ご機嫌な佐隈とは対照的に、ベルゼブブは不機嫌さをあらわにする。
「また私のプリチーボディをもてあそぶつもりなんですね……!」
「でも、前回とは違いますよ〜」
「え、そうなんですか」
もしかして芥辺探偵事務所の仕事のために召喚したのだろうか。
「はい」
佐隈はグリモアを閉じ、左手に持った。
それから、ほがらかに告げる。
「前回とは違って、今回はちゃんとイケニエを用意してます!」
右の手のひらでテーブルをさした。
テーブルにはカレーライスが置いてある。
カレーライスはほかほかであるようだ。
佐隈は得意げな顔をしている。
その顔をベルゼブブはジロリと見た。
「今回は、お断りします」
きっぱりと拒否する。
だが、佐隈の顔はくもらない。
「ベルゼブブさん」
佐隈は明るい表情のまま問う。
「カレーか、グリモアか、どちらがいいですか?」
カレーか、グリモアか。
その意味は。
イケニエを受け入れるか、グリモアを受け止めるか。
つまり。
佐隈の依頼を引き受けるか、グリモアの制裁をこの身に受けるか。
ということだろう。
「さあ、選んでください」
佐隈はにこやかに、グリモアを左手に持ち、迫ってくる。
笑顔で脅してきやがったぞ、この女ァァァーーーー!
ベルゼブブは胸のうちで怒鳴った。
作品名:さくべーですよ! 作家名:hujio