二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

さくべーですよ!

INDEX|16ページ/31ページ|

次のページ前のページ
 


ベルゼブブは魔法陣を通りすぎて、人間界に出た。
いつもと同じで、ペンギンのような姿に変化している。
場所は芥辺探偵事務所だ。
グリモアの並んだ本棚などのある部屋だ。
魔法陣から少し離れたところに、佐隈がグリモアを片手に持って立っている。
「ベルゼブブさん」
「はい」
「まだそこにいてください」
「なぜですか?」
「お願いしたいことがあるので、ベルゼブブさんにかけられた結界の力を解きます」
「……ほう」
なんだかよくわからないが、自分にとって悪い話ではなさそうだ。
ベルゼブブは魔法陣の真ん中に立ち、動かないでいる。
すると、佐隈は呪文の詠唱を始めた。
その詠唱が終わる。
完成した呪文の力が、ベルゼブブに到達する。
ベルゼブブの姿が変わった。
魔界にいるときと同じの本来の姿にもどっている。
「よし、成功」
佐隈は満足そうな表情で言った。
「……どうして私にかかった結界の力を解いたのですか?」
ベルゼブブは佐隈のほうに歩きつつ、問う。
いつもとは歩幅が違うので、すぐに佐隈との距離が詰まった。
しかし、いつものプリチーボディではなく悪魔らしい姿をしたベルゼブブに近づいてこられても、佐隈は明るい表情のままでいる。
「今日は芥辺さんが遠くに出かけていて、事務所には私ひとりなんです。でも、芥辺さんから買っておくよう依頼されている物があるので、それをベルゼブブさんに買ってきていただきたいんです」
「ああ、なるほど」
人間界で買い物をするのに、いつものプリチーボディでは、問題がある。
だから、佐隈はベルゼブブにかけられた結界の力を解き、本来の姿にもどしたのだ。
ただし、このままの姿でも問題があるので、このあと、人間に見えるように変装しなければならない。
「ところで、アザゼル君は?」
「今日は喚んでいません」
「そうですか」
ベルゼブブは佐隈と肩を並べて歩く。
やがて、部屋から出た。
廊下を進み、別の部屋に入る。
この事務所に仕事の依頼にきた客の対応もする部屋で、芥辺や佐隈の専用デスクも置かれている。
ベルゼブブは応接セットのソファに腰かけた。
いつもなら、足のかかとまでソファの上にあるのに、本来の姿にもどった今では足の裏が余裕で床に届いている。
「じゃあ、イケニエを持ってきますね」
そう佐隈は告げ、去っていった。
ベルゼブブはひとり残された。
窓からは陽の光が差しこんできている。
冬であれば暗くなっている時刻だが、夏の盛りへと向かっている今は日の暮れる気配さえまだ感じない。
明るい部屋の中で、ベルゼブブは考え事をして時を過ごす。
作品名:さくべーですよ! 作家名:hujio