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さくべーですよ!

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「なにを言っているんですか、あなたは!」
バカなことを、と思った。
けれども。
身体の中で心臓がいつもより早く打っている。
今、自分は動揺してる。
「なっ、なぜ、私があんな酒乱を……!」
顔が赤くなっている気がする。
アザゼルに見られたくなくて、ベルゼブブは顔を背けた。
「酒乱ゆーほどでもないと思うで」
「それは、あなたが、酔っぱらったさくまさんが私にどんなことをしているか知らないから言うんですっ! 本当にひどいんですよ!? 私の身体を抱きしめたり、ベッドに連れこんで私を抱き枕にしたり……!」
「それって、むしろ、ええこととちゃうん?」
「違います!! ものすごく困るんです!!!」
「困るんは、反応してしまうからやろ」
アザゼルはまたニタアといやらしく笑う。
「身体が反応してしまうのに、さくを襲うわけにはいかんから、困るんとちゃうん。ワシやったら、ええ機会やと思って、セクハラしまくるで。せやけど、べーやんは、さくのことが本気で好きやから、嫌われるよーなことしたくないんやろ」
「そんなことは……っ」
だいたい、ベルゼブブは佐隈を襲ったことがある。
しかし。
「べーやんは、さくを傷つけたくないんやろ。泣かせたくないんやろ」
あのとき、佐隈が泣くのを見て、ベルゼブブはやめたのだ。
佐隈の涙。
それを思い出すと、ますます動揺する。
心臓がバックンバックンと荒々しく強く鳴っている。
「ここは、ひとつ」
アザゼルがベルゼブブの右肩に左の手のひらをポンと置いた。
「ワシが協力したるわ」
「協力……!?」
ベルゼブブはぎょっとした。
「そんなもの、いりません!」
「そんな遠慮せんでええんやで、べーやん。友達やねんからな」
「遠慮なんかじゃありません。本気でいらないと言っているんです!」
物事を深く考えずに行動するアザゼルは、一体どんな協力をするつもりなのだろうか。
想像するとオソロシくて、ぞわわわわと嫌な予感がする。
だが。
いや、とベルゼブブは気づく。
いやいやいや、話がおかしくなっている。
ベルゼブブが佐隈のことを好きだという前提で話をしている。
「アザゼル君! そもそも、私は」
「えーて、えーて、べーやん。ワシの職能は淫奔じゃ。他人の恋愛にも強いからな、安心しィ」
アザゼルは左手を顎にやり、ウンウンとうなずいている。
そして、ベルゼブブから少し離れ、身体の向きを変えた。
「アザゼル君……!?」
「ワシにまかしとき」
そう言うと、アザゼルはコウモリのような翼を動かした。
家のあるほうへと飛んでいく。
ひとり残されたベルゼブブは、安心どころか、不安でいっぱいだった。





作品名:さくべーですよ! 作家名:hujio