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さくべーですよ!

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豪華なシャンデリアが頭上の高いところできらめいている。
ベルゼブブ家の城の客間のひとつである。
部屋は広く、あちらこちらの装飾は凝っていて優美であり、高級感が漂っている。
庭に面している窓は開け放たれて、陽光とさわやかな風が入ってくる。
ベルゼブブはイスに座っていた。
テーブルの向こうには、若い女性が姿勢正しくイスに腰かけている。
他にも、ふたり、ベルゼブブより年上の男女の悪魔がいる。
ふたりは夫婦で、一族の者で、見合いを勧めてきた者である。
そう、ベルゼブブは見合いをしているのだ。
相手はもちろんテーブルの向こうにいる女性である。
ぶしつけにならない程度に、ベルゼブブは相手を観察する。
外見はベルゼブブと同じく、金髪、碧眼。
そして、美人である。
けれども、ベルゼブブは、そういえばこんな顔だったなと、以前に見た写真を思い出しただけだった。
「優一さんのことは、まえから知っていました」
娘は品のある表情、声で話す。
「私が獄立大に入学した年が、優一さんが獄立大で過ごされた最後の年で、学年が違っていて、接点も無かったので、遠くからお見かけするだけでしたが、私は優一さんに憧れていました」
その長い睫毛に縁取られた大きな眼は、じっとベルゼブブを見ている。
熱を帯びた眼差し。
どうやら、彼女はこの見合いに乗り気であるようだ。
しかし。
「そうですか」
ベルゼブブは薄い反応しか返せなかった。
どうにも気が乗らない。
自分はベルゼブブの一族の中でも選ばれた者であり、そのための責務がある。
そろそろ身を固めてもいい年だ。
今、眼のまえにいるのは申し分のない相手である。
それがわかっていて。
頭にチラつく。
ここにはいない者の姿が、浮かんできて、そちらのほうが気になってしまう。
あのエロ悪魔のせいだ。
そうベルゼブブは、いまいましく思う。
アザゼルが妙なことを言ったせいで、見合いの席にいるにもかかわらず、ここにはいない人間の娘を思い出してしまうのだ。
さくまのことを思い出してしまうのだ。
眼のまえにいる相手に対して失礼なので、見合いに集中しようとするのだが、頭に浮かんできたさくまの姿を消し去っても、また浮かんでくる。
どうしてなのか。
好きだからに決まっている、アザゼルならそう言うだろう。
バカバカしい。
ベルゼブブは胸のうちで否定した。
作品名:さくべーですよ! 作家名:hujio