さくべーですよ!
「ピギャー!」
ベルゼブブは悲鳴をあげた。
魔界にいるときとは違う小さな身体は、佐隈の腕の中におさめられてしまう。
そのうえ、ぎゅうっと抱きしめられる。
「わあ、ふかふかー!」
佐隈が嬉しそうに言う。
「抱き心地、最高です!」
酔っているせいもあって、かなりハイテンションだ。
ベルゼブブのプリチーボディをぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
自分の身体と佐隈の身体と密着している。
いや、佐隈の身体が押しつけられる。
佐隈はまったく意識していないのだろうが、その身体のやわらかい部分がベルゼブブの身体に当たっている。
意外と大きな胸のふくらみが押しつけられている。
今、佐隈はルームウェアらしい格好で、上はTシャツを着ている。
そして、そのTシャツの下は……。
どうやらブラジャーをしていないようなのだ……。
そのうえ、ベルゼブブは上着を奪い取られてしまっている。
だから、感触が生々しく伝わってくる。
やわらかくて、ぽよんぽよんとした感触が、伝わってくる。
ベルゼブブはその感触について考えないよう試みる。
気持ちが悪いからではない。
むしろ。
その逆で。
気持ちが良いからこそ、問題なのだ。
自分のなにかが反応してしまいそうで、困る。
「ピギャー! ピギャー!」
ベルゼブブはひどく混乱し、大騒ぎする。
けれども、佐隈はベルゼブブを放そうとはしない。
プリチーボディを抱きしめたままでいる。
しばらして。
「ベルゼブブさん、私、今、すごくいい気分です」
うっとりと佐隈が言った。
それに対し。
「さくまさん、私は今、身も心も蹂躙された気分ですよ……」
ベルゼブブは疲れきった声で言い返した。