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こらぼでほすと 闖入10

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 寺に坊主が居て、そこで女房をしているというのは、ニールにとって当たり前のことだ。坊主が消えてなくなるなんて考えたこともないだろうし、消えても、そうか、で済まされるだろう。坊主のほうも、そういう感覚だ。いないと不自由だが、面倒だと思うだけだ。童子様も、ふんっと鼻息で返事して微笑む。結果は、数年後には判明するだろう。その頃、この寺の夫夫が、どうなっているか、なんとなく予想はついている。



 ラボでは、フリーダムの最終確認が行なわれ、コクピットに必要な資材も乗せられた。今度は、アフリカ大陸だと言うので、ハイネから送られてきたデータも解析して、そのデータもシステムに載せておいた。
「春っていうか、ママのはぴばには戻っておいで、刹那。」
 寂しがり屋なママのために、誕生日ぐらいは一緒にお祝いしてあげて、と、キラは命じる。店のほうがイベントデーになるから、盛大にお祝いできないから、できれば子猫が一匹でも帰ってきて欲しいのだ。
「わかった。三月に入るまでに戻る。何か調べておくことはあるか? 」
「それは、何かあったら暗号通信で送るよ。今のところは、ハイネが調べてくれてるからない。」
「刹那、フリーダムには、標準装備の武器も配備しているが、できるだけビームサーベルか、レールキャノンあたりで戦ってくれ。あれなら、証拠は残らない。」
 一応、ミサイルや弾丸も装備しているが、それは破片が残る。だから痕跡が残らないもので対処してくれるほうが有り難い、と、アスランは注意する。なるべく戦うような局面は避けてもらえるほうがいいのだが、警戒が厳しい地域だから、発見されたら対処するしかない。
「了解した、アスラン。」
「それと食料は、携帯食料を二ヶ月分詰めてあるが、それだけで済ますなよ? 栄養が足りないからな。」
 予定では三ヶ月の行程だ。一ヶ月分足りない。コクピットに載せられる限界が、それだけなのだ。で、この黒子猫、二ヵ月分で四ヶ月済ませることが可能という迷惑な生き物なので、そこいらも注意する。成長が遅いのは、そういうことをしているからだ、と、親猫も叱っているが聞き分けている様子がないから、アスランも注意する。
「それは、どうにでもなる。今度は水の確保は楽だろうから、心配はない。」
 で、この返事だ。だから、違うって、と、アスランは、おいおいと首を横に降る。
「せっかく、アフリカ大陸に行くんだから、街や都市部もチェックしてくればいいだろ? 刹那。そこでなら、食料は仕入れできるし、何か変ったものがあったら、おまえのママに買って来い。」
「・・・腐るぞ? 」
「腐らないもので。おまえが食べるなら、腐るものでもいい。たぶん、果物は豊富なはずだから、それでビタミン関係は摂取しろ。」
「わかった。」
「あとね、動物は病気があったりするから、持ち帰っちゃダメだよ? 刹那。ママの身体によくないものがついてたら大変だからね。」
「てか、キラ。それは問題外だ。コクピットに動物は持ち込み禁止だ。」
「えーー動物園の虎さんみたいに刹那と仲良くなる子がいるかもしれないでしょ? そういう子と遊ぶぐらいはいいじゃない。」
「それだって風土病とかあるから触らないほうがいいんだ。」
 いろいろと混ぜっ返すキラに、アスランがツッコミはする。野生の動物なんてものは、動物園のものとは違う。だから、触れることはしないほうがいいのだ。
「遊んでいる暇はないと思う。」
「そう? かわいい子がいたら、挨拶ぐらいはしてくれば? 」
「ああ、そうする。」
 電波な会話だが、まあ、これぐらいはアスランもスルーだ。野生動物なんて触れられるものではないだろう。では、行って来る、と、刹那がフリーダムに搭乗する。ラボから海へ直接出るので、昼間であろうと発見はされない。海に出て、そのまま大陸棚からさらに深海へ降りて進めば、そこにはレーダーサイトもないからだ。
 フリーダムが動き出すと、キラたちも管制室へ移動する。射出しないから、フリーダムが自身の足で歩行して海底へ飛び出す。それを見送ると、管制室で、キラは虎に、これからの予定について話し始める。
「虎さん、もう一度くらいプラントへ資材の調達に行ってくれる? 」
「そうだな。」
「アスラン、たぶんエターナルを運用するのは宇宙だから、そちらに資材をストックできる場所を確保しようと思うんだ。」
 プラントに資材をストックすると、少し場所が離れて不便になる。できるだけ地球に近い場所に、資材をストックさせておきたいと以前から、キラも考えていた。地球の周りには、廃棄された衛星や資源衛星、プラントのような人が住むための大きな人工衛星などがある。それらのどれかに潜ませておくつもりで探していた。オーヴの演習地域で、と、考えていたのだが、そこに連邦が目をつけたと報告があったから、そこからも離れた場所ということになる。
「この資源衛星は、資源を取り尽くしているから、現在は廃棄物扱い。こういうところが無難だと思うんだけどな、キラ。」
 それについては、虎も考えて情報は検索していた。オービタルリングの周辺で、ということなら、そういう廃棄資源衛星が一番隠しやすい。アステロイドベルトから資源が詰まっている大型の隕石を運んできたものだから、資源が取り尽くされると放置される。それがいくつかあるのだ。
「でも、これって演習の時の攻撃目標とかに使ってるよね? 虎さん。」
「場所的に、そういう用途に使えないものが、いくつかある。それとも、廃棄衛星というのもあるぞ。」
「どっちも危ないっていえば、危ないんだよね。あんまり近いとエターナルが寄ったらチェックされちゃうし。」
「それなら現在稼動中のものにストックしておくかい? キラ。」
 もちろん稼動中の資源衛星というのも存在するわけで、歌姫様の関係の企業体が保有しているものもある。それなら隠すこともエターナルが寄港することも不自然ではない。
「そっちのほうが安全かなあ。いくつかにバラしておくのは確定だけど。」
 ひとつところに纏めて置いては、何かあって、そこが使えなくなると全部がパアになる。だから、用心のために拡散はしておく。
「軌道ステーションにも置く? 」
「おい。」
「だって、そこが一番安全だと思うよ? 虎さん。ストックする部品は、基本、あちらでも使用するものだし、企業体の倉庫に投げ込んでおけばさ。必要ならコンテナで民間の運輸船に運ばせればいいだけだし。」
 重要な部品や資材はエターナル本体に確保する。それ以外のものな、宇宙での建設資材と変らない。それなら、怪しまれることはないのだ。あくまで企業体が、次の建設に必要だから用意しているということにすれば、連邦も勝手にどうこうできない。
「それってことは、オーヴのものは、そういう方法でストックするってことか。」
「そう、オーヴからのものは、それで怪しまれないでしょ? コンテナで上げることにはなっているんだから。プラントのものも、ある程度は、そちらに集積させておけばいい。マズイものだけ、廃棄資源衛星に潜ませる。」
作品名:こらぼでほすと 闖入10 作家名:篠義