ふわふわと
慣れた手つきで運ばれてきたコーヒーに砂糖を三杯。
入れてからニールはあっと声を出した。
「悪い。勝手に入れちまった・・・」
「ううん、気にしないで。・・・苦いのは嫌いだから」
・・・昔もよくこうして年上ぶってこうしていたニール。
でもきっとアレルヤは嬉しかったのだろう。
・・・俺も嬉しかったから。
ほら、今も窓ガラスに映るのは嬉しそうなアレルヤの顔だ。
そして、それを見つめるニール・・・。
見てるだけで胸が甘さでいっぱいになる。
「これ俺の番号。夜なら、いつでもかけてくれて良いから」
差し出された名刺に書かれたのは恐らくプライベートの番号だろう・・・。
(サラリーマンしてんだな・・・)
「・・・やっぱりナンパだ」
くすくす笑いながらアレルヤが受け取ろうと伸ばした手はニールに握られる。
振りほどけば簡単に剥がせる程度のぬくもり。
まるで懐かしい思い出に唆されたようだと思った。