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The first star of the evening

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27日、
俺は結局セントラルに来ている。

会いたいという気持ちと会いたくないという気持ち、
どっちが上でどっちが下か分からなかった。

ロイはモテていたからきっと4年もたった今は恋人も居るはず。
あの時、俺に向けていた笑顔を今は誰に向けているんだろう…
すれ違う恋人達の中にロイの姿を見てしまったらどうしよう…

そう思うと足が止まった。

だけど、きっとどこかで期待してる。
再会したら喜んでくれるんじゃないか、
俺と付き合ってた頃のことを覚えてくれてるんじゃないかって。


「そんなわけねぇのに。」

自嘲的な笑みがこぼれた。



「兄さーん」

遠くで俺を呼ぶ声がした。
沈んでいた気持ちを切り替えて顔をあげる。


「アル!」

「兄さん来てくれてありがとう。」

受験会場から走ってきたのだろう。
少し息をあがらせながらも嬉しそうに笑った。

ここまで来る間にぐるぐるといろんなことを考えたけど、
今は忘れて久しぶりの兄弟の時間を楽しもうと思った。
アルの笑顔が嬉しかった。
来てよかったなと思えた。


以前、ヒューズ中佐に教わったアットホームなレストランで食事をすることにした。
大好きなシチューが美味しくて、
セントラルに滞在した時は必ずといっていいほど訪れた。

久しぶりに訪れたが、店内は何一つ変わっていなかった。
テーブルもイスも照明も雰囲気も。
それがなんだか嬉しくて無意識に顔がゆるんでしまい、アルに笑われた。


「兄さん、ここのシチュー大好きだもんね。」

「おう。」

「母さんの味に似てるんだね。」

「あぁ。お前も食べれて良かった。」


二人で懐かしみながらシチュー食べていると、
エプロンをしたおばあさんが近づいてきた。

「もしかしてエドワード・エルリック君?」

「あっはい、そうですけど?」

突然自分の名前を言い当てられて驚いた。
だが、返事を返した途端に綺麗な笑顔を向けられた。

「やっぱり! また会えて嬉しいわ」

「えっと…また?」

「そうね、あの時は挨拶していないものね。」

知らないのも当然ねと話し出したおばあさんは、
以前までここの料理を作っていた人だった。
何でも、たまに来る大きな鎧と小さい子供のエルリック兄弟のことをよく覚えていたらしいのだ。
鎧の方は食べていないようだったが、
子供の方は凄く美味しそうにシチュー食べていたのを厨房から覗いていたと。
今は、引退してたまにお手伝い程度だが、
またあのエルリック兄弟が来ないかなとずっと思っていたそうだ。

「本当に会えて嬉しいわ。
 今日のは私が作ったものではないけれど、味はちゃんと守れているかしら?」

「はい、前も今もすっごい美味しいです。」

「良かった。」

その後は、別に大して役にたってないからいいのと言ったので、
3人でいろんな事を話した。
ここのシチューは母さんの味に似てることとか、
あの時の鎧は実はコイツなんだよとか、
俺はイーストで働いてるとか、アルは今日の受験が受かったらこっちで暮らすこととか、


「あっそういえば―」


そう言っておばあさんが話し出した内容は信じがたいものだった。



その後、おばあさんが厨房に呼ばれたのをきっかけにお開きになった。
店を出てもまだ俺は放心状態。


作品名:The first star of the evening 作家名:おこた