Un libro di caso di fortissimo
混乱して何の抵抗も見せない身体を力いっぱい抱き寄せた
抱きしめた身体は普段の行いからは考えられないほど頼りない
心配するなという方が無理で、ほっとくなんて出来ない相談だ
「し、んぱいなんて、いりません。なにも、いりません。たくさんもらったから、もう、もういい。もういいんです」
それなのに、かすれた声で静雄はそんなことを言う
俺はお前になにも与えちゃいない
与えても居ないのに、もういいってどういうことだ
しゃくりあげるように言うくせに、言葉は鮮明に振動する
静雄が俺の手を離そうとしているのが嫌でもわかる
「静雄…っ」
情けないくらい余裕のない声が出た
実際、俺は焦っている
手を離される事実に泣きそうなほど動揺しているのだ
呼んでも静雄は俯くばかりで、それ以上反応を返さない
なんでだ
おまえ、俺が呼べばいっつも返事したじゃねぇか
呼びかければおまえ、笑ったじゃねぇか
それがなんだってそう、頑ななんだ
なにがおまえをそうさせている
俺か
俺なのか?
ぜんぶ、俺のせいなのか
抱きしめているのに、少しも実感がなくて焦燥ばかりが積もっていく
「好きだ。好きなんだよ、静雄。だから俺から離れるな」