ながいともだち
翌朝。
点呼に現れた聖遊男ジャックを見て、皆、思わず声を挙げた。
「聖遊男ジャック、一体どうしたんだい?」
「自分で切ったのか?」
「へえ~、いいなあ、俺もやろうかな~」
「……聖遊男ジャック、顔色が悪いですよ?」
「……えっ、そう?」
最後の一言は、心配そうに顔を覗き込んだ聖霊牛若に対する男ジャックの返事だ。
昨日まで豊かに伸び広がっていた男ジャックの髪は、襟足ほどの長さで、ばっさり断ち切られていた。
本人によると、ただもう、適当にハサミを使っただけらしいのだが、あちこちに跳ねる癖っ毛のおかげか、そんなに見苦しい姿ではない。
そう、ちょうど、神帝男ジャックのようなーーー。
「皆さん、そんなに騒いで、何があったのですか?……聖遊男ジャック!その姿、一体どうしたというのです?!」
「あ、アンドロココ様……」
振り向いた男ジャックの顔色は、確かに悪かった。
土気色だった。
「どうしたというんです!?」
更に驚いたアンドロココが男ジャックに問い正すのと、男ジャックがアンドロココに向って倒れ込むのが、ほぼ同時であった。
「?! すごい熱ですよ!」
抱きとめたロココが、思わず叫んだ。男ジャックは、ロココの言葉が聴こえているのかいないのか、ぼんやりした顔のまま、
「いやあ、すっきりしましたよ……」
と、一言言ったきり、気を失ってしまった。