ながいともだち
空中のヴィジョンに、スーパーゼウスの顔が大写しになった。
「分かったぞ、聖遊男ジャックよ」
ビジョンに向って頷く聖遊男ジャックと海母精。
一日が過ぎて、男ジャックの容態はそれなりに安定していた。
ただしそれは、看護に当たる海母精達が、交代で理力を注入しているからだ。
少しでも理力を激しく消耗すればまた意識不明に陥る可能性が高いとのことで、絶対安静を言い渡された男ジャックは、ベッドの上での生活を余儀なくされていた。
ヴィジョンにはスーパーゼウスに代わってシャーマンカーンが映し出された。
シャーマンカーンは、エヘンと一つ咳払いをして、話を始める。
「ーーー調べたところ、海母精の推察通りであった。」
男ジャックと海母精は、そろって息を呑んだ。話が核心に近付いている。
シャーマンカーンは、続けた。
「確かに我々天使は、パワーアップ時に髪やヒゲが伸びるものが多い。また、海母精のように、髪そのものが理力の象徴になっているものもある。これはどうも……」
「「これはどうも?!」」
「どうも、我々が、髪を通じて周りからエネルギーを取り込み、理力エネルギーに変えておるようなんじゃ。特に、パワーアップすると体内で作られる今まで理力エネルギーだけでは足りなくなる。そこで、髪が伸びたり増えたりすることで足りない理力エネルギーを補う、という仕組みになっておるらしいのじゃ。」
「「……」」
次第に顔色を失う、男ジャックと海母精。
「聖遊男ジャックよ」
「!は、はい!!」
「おぬしらは、神帝とはいえ、天使からヘッド級へと、奇跡にも近いパワーアップを遂げた。急激に髪が伸びたのも、無理はない。ところがおぬしは髪を切ってしまった。周りから取り込むエネルギーが減って理力を維持できなくなり、倒れてしまったのであろう」
「そ、それじゃあ、オイラは一体どうしたら元に戻れるんですか?!」
「……それは、分からん」
「「え?!」」
「調べは続けるが、とにかく今は、動かずに、できるだけ理力の消耗を抑えるしか、方法がない。なにしろ、自分で髪を切ってしまった天使など、前代未聞であるからして……」
「「そ、そんな……!!」」
なくなってはじめてわかる、髪は、長~~~い、友だち。
注)元ネタはこれです→ttp://www.weblio.jp/content/カロヤン+(商標)