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軽挙妄動

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その時、不意にバタバタと音がして、部屋のドアが開け放たれた。


「ま…間に合った…」


息を切らしながらそう言葉を紡ぎ、近くにあった椅子に腰を落とし、ルーツに差し出された水を
飲み干して、男は大きく息を付いた。

この中では一番若そうだ。

恐らくこの男がディッシュだろう。


「遅ぇぞ。最近は日暮れ前でもヤバいんだ。気を付けろ。」


ルーツの言葉に「解ってるよ」と言葉を零し、ディッシュはテーブルに突っ伏した。


「見つからなかっただろうな?」

「ああ…宿の女将に渡して来たから大丈夫だ…」


疲れたように紡がれた言葉に、無精髭の男が頷く。


「解った。」


無精髭の男は背凭れに体を預け、息を付いた。


「そろそろ、だな。」


髭の男が、そう言葉を紡いだ時。


「ガアアアアァァァァァッッッッ!!!」


空気を裂くような声が、響き渡った。


「ひいぃぃっ!!」


ディッシュが耳を塞ぎ、声を上げる。


「…出やがった…」


忌々しそうに舌打ちをし、無精髭の男が席を立つ。

壁に立て掛けてあったライフルを手に取り、灯りを消す。

木材で幾重にも打ち付けられた窓のほんの隙間から、橙色の光が射し込む。


「おい・・・ガキ黙らせとけよ・・・」


低く、声を漏らし、無精髭の男は崩れかけた壁の隙間から外の様子を伺い始めた。


「大丈夫だからな。じっとしてろよ。」


ヴィッツはロイにそう言葉を掛けると、手首のロープを解き、傍にあった毛布を、ロイの頭から被せた。


「これでちょっとはマシだろ?怖かったら耳塞いどけ。」


声を潜めながらそう言って、ヴィッツは毛布の上からロイの頭を撫でた。

どうやら思っていた状況とは違うようだ。

一体こいつらは、何を企んでいるのだろうか?

それに、あの咆哮。

獣の声にしては、少し違和感がある。

もう少し、様子を観た方が良いかもしれない。

毛布の隙間から部屋の様子を伺えば、窓の隙間から差し込んでいた光は既に無くなりつつあった。

そうしてじきに、部屋の中は暗闇に包まれた。

長い夜が、始まった。






作品名:軽挙妄動 作家名:ゆの