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軽挙妄動

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ふとロイが目を醒ますと。

そこは先程迄居た筈の宿では無く、廃屋のような場所に変わっていた。


「何だここは・・・」


崩れ掛けた棚。

ぼろぼろの人形。

破れた片方だけの靴。

割れた食器。

誰かが住んで居た名残が、辺りに散乱している。

ほんの少しの間状況が把握出来ず、辺りを見回していたロイは、どうやら厄介な事に巻き込まれた
らしいと漸く理解した。


「・・・鋼の・・・?」


居る筈のエドを、呼んでみる。

しかしエドどころか、アルの返事すら聞こえない。


「・・・・・・」


少々ムカついて、眉間に皺を寄せる。

体を起こし、ポケットを探って、手袋を引っ張り出す。

そうしてそれを両手に嵌め、すぐに対処出来るように備えて、辺りの様子を把握する為にその場を後にした。

埃の匂いが鼻を付き、噎せ返りそうになる。

辛うじてそれを堪え、ロイは足を進めた。

ふと、廊下の奥のドアの隙間から灯りが漏れているのに気付き、そうっと覗いて観ると、そこに3人の男が
居るのが見えた。

明らかに、悪事を働いて居るなと、壁に立て掛けられた人数分の銃を観てロイは思った。

他にも、手榴弾やオイルなどが置いてある。

ぼそぼそと聞こえる話し声にロイは耳を傾けてみた。


「で、あのガキどうするんだよ。」


赤いバンダナを頭に巻いた男が、口を開いた。


「本当に利用出来るのか?」


今度は向かい側に居る、髪の長い男だ。


「お前ら、観ただろ?あのデカいのとチビ。ありゃ有名なエルリック兄弟だ。あいつらを思い通りに
出来れば軍を乗っ取ったも同然だ。だから先ずは、あのガキを人質に取って言いなりにさせんのさ。」


胸を張り、そう言って見せたのは、無精髭を生やした男。


「国家錬金術師っても、所詮はガキだ。すぐに俺達の言いなりになるさ。」


そう続け、男は声を上げて笑った。

どうやら自分は、誘拐されたらしい。

しかし何故、気付かなかったのだ。

エドも、自分も。

有り得ないではないかと思った瞬間、更にムカムカする。


「俺達の勝ちだ。」


にやりと笑い、そう紡がれた男の言葉に。


「思考がお粗末だな・・・」


鼻で笑い、面白く無さそうにロイは小さく言葉を紡いだ。

こんなつまらない事に付き合ってやる程暇じゃない。

ロイは音を立てないよう、その場をそっと離れた。

数歩後ずさった所で、ふと、視界が翳る。


「何・・・?」


顔を上げると、アームストロング程の体格の男が、ロイを見下ろしていた。


「ガキが、何してやがる。」


低い、濁声が降って来る。


しまった・・・


心の中で舌を打ち、どう逃げようかと考えを廻らせる。

しかしすぐに男に首根っこを掴まれてしまった。

焔を出そうかと、指を擦り合わせ掛けたが、その前に男が部屋のドアを開けてしまったのでタイミングを
逃してしまったロイは、仕方無く手を下ろした。

室内の銃器に引火してしまえば厄介な事になると、考えたからだ。

仕方無く、ロイは大人しくする事にした。







作品名:軽挙妄動 作家名:ゆの