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神様よりもはやく

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「帝人くんのことを考えていた、って言ったでしょう、」
ああ、そういえばそんな事言ってたけど本当だったのか。
「起きてテレビ付けたら、ニュースで今日は七夕ですって言っててさあ」
何となく帝人くんのこと思い出したんだよね、と言ってこちらを見つめる彼は何故だか真面目な表情だったから、あれ、と思った。
七夕といえば織り姫と彦星。
恋人同士の二人の話だから単純に僕を思いだした、とか、イベント事だったから僕を思い出した、という訳ではないようだ。
「笹の葉に沢山の短冊が括り付けられててさあ」
あれって流れ星みたいですよね、と言おうとした僕の言葉は、あれって首吊り死体みたいだよね、という彼の言葉に負けて喉の奥に引っ込んだ。
「それで思ったわけ」
腰の後ろに回されていた掌が体の脇を辿るように上がってきて、そのまま両頬を柔らかく包まれる。
「叶えられない願い事って首吊って死んでくんだなあって」
全く意味が分からないのだけれど、兎に角やけに感傷的だったらしいその時の臨也さんは、そのまま僕にメールを寄越したらしい。
・・・、僕がメールを受け取ったのは午後だったんだけど、つまりそんな時間まで寝てたってことか。
まあ臨也さんの仕事は不定期だから、睡眠時間が多少ずれ込むことがあるのは知ってるけれど。
「願いごと、書いてよ」
こつん、と額が寄せられた。
瞳を伏せた臨也さんの顔を間近で見つめる。
「何でもいいよ、臨也さんの部屋から一生何があっても一歩も出たくありません、っていうなら叶えてあげるよ」
開かれた瞳が、焦点が合わないほどの近くで僕を射抜く。
「ベットで死ぬまで繋がっていたいっていうなら、今すぐに叶えてあげる」
ぼやけた赤の中に本気の色を見つけた。
なのに僕は、怖いとも思わなければ驚きに体が震えることもなかった。
「願い事を強要するんですか」
ちゅ、と鼻先に唇を寄せてからそのまま顔を離して、相変わらず真剣な表情の臨也さんを見上げた。
「帝人くんの願いを教えて。叶えたい願いごとを」
だって俺はたくさん君の幸せを殺してきてしまったよ、と小さく吐かれた言葉に、僕は目めを瞠った。
「おしえてよ君のねがいを、」
死なせたくないんだ、と言った彼の声は掠れてはいなかったのに、消えそうな音のように感じた。
「今度はちゃんと叶えてあげる」

作品名:神様よりもはやく 作家名:ホップ