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7月7日

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うんざりするような数学と英語の授業が終わって、昼休み。
俺はロイのところに行こうと席を立った。

「ねぇちょっとエド!!」

「悪ぃ、俺ロイのところ行ってくる!!」

「あっエドーー!!」

「後でなーー」


ウィンリィが話しかけてきたが、今はロイの方が先だ。
授業中もやっぱり気になって集中出来なかった。

熱を出したわけじゃないし、大したことないって言ってたから、
きっともう教室に戻ってるはずだ。
ロイの居る3年の教室は2階の端。
俺は行きなれた廊下を走った。

そして教室を開ける。

「ロイー」

普通の1年なら、こんなに堂々と入って来ないんだろうけど。
俺は入学してからちょくちょくこのクラスに出入りしてるから慣れた。
3年の先輩方ももう慣れてるみたい。

「あら、エドワード君、ロイなら保健室行ったわよ。」

教室に入って、ロイを探していると、
ロイやジャンと仲の良いリザさんが話しかけてきた。

「リザさん、こんちは。ロイの怪我そんなに悪いの?」

「いいえ、ただ氷を貰いに行っただけよ。」

「そっか、良かった。じゃあ保健室行ってみるよ。」

ありがとっとお礼を言って、
またすれ違わないように俺はさっきよりもダッシュで保健室に向かった。
今日はなんだか走ってばっかりだな。


今度こそ、と期待を込めて保健室のドアを開ける。
するとベッドに腰掛けたロイがいた。
の前にジャンも居た。

「おっエドーこっちこっち。」

「なんでジャンも居んだよ。」

「そりゃ足を怪我した友人の手助けにきまってんだろ。」

「あっそ。」

「軽っ!!」

「ロイ、怪我大丈夫か?」

「無視っ!!」

「…あぁ、大したことないよ。」

「ったくどんくさいな。避けろよそれぐらい。ボーッとすんな。」

確か、廊下を走ってきた奴とぶつかってこけたって言ってたよな。
でも、ロイならそれぐらい簡単に避けるぐらいの運動神経は持ち合わせてるはずだ。
だからこそ、体調が悪いのかなとか。
なんかそういう心配をぐるぐるしてしまったのだ。

「すこしボーッとしてたかもな。」

「ったく。」

心なしか、ロイが元気が無い気がする…
どうしたってんだよ。

「なぁ、エド。」

「んだよ。」

ったくどうして俺の扱いはそんなに雑なんだよ。
これでも先輩だぞ。敬え!大事にしろ!
なんてことをジャンがウダウダ言いはじめたが、ひとつわざとらしく咳払いをして本題を話し始めた。

「なぁさっき、惚れてるとか言ってたけど。好きな奴でも出来たのか?」


うげっ!!!!!
忘れてた――って俺もう今日は何なんだよ…



つか!!なんでこのタイミングで聞いてくんだ!!
本人を目の前にした状況でどうすりゃいいんだよ!!
なんかロイも俺のこと見てるし!!
確かに、惚れてる…と思ったけど。
それに意識した途端のこの心拍数やばいけど…

本人に言えるわけねぇじゃねか!!


「そんなこと、いっ言ってねぇよ。」

我ながら最悪な誤魔化し方だ…

「おいエド、そりゃ肯定したも同じだって。」

ジャンもさすがに呆れ返ってる。
ロイも俺を見なくなった。

くそっなんだかすごく情けなくなってきた。
俺は何も悪くねぇのに…
だって言えるわけねぇじゃねぇか…
ウィンリィはああ言ってたけど、男って時点でだいぶ迷惑な話なのに。
ロイには彼女が―

そう、彼女が居るんだよ。


言えねぇよ…

言えるわけねぇ…



俺が黙り込んでしまって、
気まずい沈黙が続いたが、ロイがそれを破った。

「ハボック、戻るぞ。」

「えっいいのかよ?」

「あぁ。」

なんだかジャンは不満がありそうだったが、
ロイはギシッと音をたててベッドから立ち上がり、二人はドアに向かって歩きだした。
俺はこのまま問い詰められたらどうしようと思ってたから、少しホッとした。



「あっロイ!!」

「なんだ。」

俺は放課後のことを言わなきゃと思い、
呼び止めたが、振り返ったロイの顔を直視出来なくて大げさに視線をはずしてしまった。
ちょっと今のは嫌味っぽかった気がする。
でも、だからと言って顔を見ることができなくて、そのまま話す。

「今日、家まで送ってやるから…さ。」

「構うな。」


「えっ…あっ!!」

ロイは俺が呼び止める間もなく、行ってしまった。
ロイは軽く足をひきずってるから、簡単に追いつけるけど。
俺はその場から動けなかった。

なんで・・・・あんな・・・
あんな苦しそうな顔してんだよ。

ロイの去り際に見た横顔は悲しげに歪んでいた。
俺はロイのそんな顔見たこと無かったから吃驚して…

なんだこれすっげ苦し…

朝よりもひどい痛みが胸に走った。



保健室のドアの前でうずくまってた俺を職員室にでも行ってたであろう保険医がベッドに運んでくれた。
少し休んだ後、ゆっくりしていいよと言ってくれたがそれを断って、保健室を後にした。
さすがに授業はさぼれない。
さぼったらウィンリィに怒られるし、ウィンリィからロイ達に告げ口される。
なんとなくそれは避けたかった。


重い足取りで自分の教室に戻った。
俺の姿を見つけたウィンリィがさっそく駆け寄ってきた。

「ちょっと顔色悪いわよ、大丈夫?」

「平気。」

「そう、ねぇちょっと聞いてよv」

ウィンリィはかなり興奮しながら話し出した。
なんでも、短冊に書いたお願い事が叶ったらしいのだ。

「アルがね勉強あるから、今年はごめんねって言ってのにさっき行くってメール来たの!!」

「行くって何に?」

「馬鹿ね、七夕祭に決まってるでしょ!!
 今日は無理だけど、日曜に行くことになったの。」

ウィンリィは短冊に
[今年の七夕祭にアルと一緒に行けますように]と書いたそうだ。
そしたらそのすぐ後に、アルから七夕祭にやっぱり行こうというお誘いメールがきたそうだ。

「あの短冊凄いわね!! ありがとねエドv」


チャイムが鳴ったこともあって、ウィンリィは上機嫌で席についた。
俺も自分の席につく。
短冊の願いが叶ったのか…人がこんな気分の時にめでたい奴・・・。


そこでハッと気付いた。
俺は短冊に何て書いた?
確か、[ロイ・マスタングがこけますように]って…

まさか…ロイが怪我したのって俺のせい?
俺の短冊の願いも叶ってたってことか!!?

まじかよ…


でも…待てよ…
てことはあと1つ…
これに願いごとを書けば叶う…ってことか…

俺は机の中にしまっていた最後の一枚の短冊を取り出した。


作品名:7月7日 作家名:おこた