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7月7日

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何て書こう…

俺は今何を望んでるんだろ…


ロイに幸せになってもらいたい…
さっきみたいな顔はもう見たくない…

でも、幸せにできるのが俺じゃない…それがすっげぇ辛い。

きっとここにロイの幸せを願ったら――
俺はロイのそばに居られなくなる…
俺の気持ちって迷惑なだけだもんな…

でも、ロイをこれで無理矢理振り向かせるなんて卑怯な真似は絶対にしたくない。
そんなもので手に入れても嬉しくなんかない。


でも、ロイとあの女がくっつくのを手伝ってあげる程、出来た人間でもない。
ロイなら大丈夫だろうし…
だったら…最後に、


[ロイと七夕祭に行きたい]


最後にロイと二人の思い出が欲しかった。
俺に好きな人との思い出をください。

気付く前と、気付いた後ではぜんぜん違うから。

もしかしたら、偶然が重なっただけかもしれないけど、
俺は短冊に思いを込めた。
字が震えてしまって、だいぶ情けない。


それから、俺はロイからメールが来ないかずっと気にしてたけど、
待っても待ってもメールは来なかった。
5、6時間目の授業が終わってHRも終わってしまった。

放課後になり、ロイを迎えに行こうかと思ったけど、
さっきのことが気まずくて出来なかった。

迷いながらも下駄箱に向かって、靴を履く。
気分が落ち込みながらも校門に向かうと、

そこにはロイが居た。
吃驚して立ち止まっているとロイが俺に気付いて近づいてきた。


「エド、帰るぞ。」

一瞬七夕祭に誘われるのかと思ってドキドキしたが、
ロイの口から発せられた言葉は『帰る』だった。
でも、ロイは俺のせいで足を痛めてるし七夕祭なんてそもそも無理だったんだ。
痛む足で無理矢理連れてくなんて最低だもんな。
俺は気持ちを切り替えた。
今は一緒に帰れることを嬉しく思おう。


「足、痛むか?」

「少しだけだ。」

「ごめん。」

「どうしてエドが誤るんだ。」

「…なんとなく。」

「行くぞ。」


そう言って歩き出したロイに俺も続く。
でも、おかしい…家の方角はこっちじゃない。

「おいロイ?」

「・・・・・」

「病院行くのか?」

「違う。」

「じゃぁ何処行くってんだよ!!」

「・・・・・」

「おい、その足で無理すんなよ。」

「いいから黙ってついて来い。」


そう言って今度は俺の腕をひっぱって歩いていく。
本当なら怪我したロイを俺がひっぱってくはずなのに、
怪我人にひっぱられてしまっている。
今日の俺は随分と情けない。

ロイに触れられてる腕が熱い。
何処に向かうのか気になったが、俺はそれ以上は深く突っ込まずに、
ただロイの負担にならないようにおとなしく付いていった。


着いた先は駅だった。
電車に乗るらしい。
そして駅構内に入ったところで気付く。

駅は七夕飾りがいたるところに飾られていた。
昔も駅の飾りで気分が高まりながら七夕祭に行った。
ロイと二人で。

そう、きっとロイは七夕祭に向かってる。
短冊に書いた願いはやっぱり叶ったんだ。




「なぁロイ。」

「なんだ。」

「何食おっか。」

「…たこ焼き。」

「ハハッロイ本当にたこ焼き好きだな。」

「五月蝿いぞ。」


嬉しかった。

最後に叶ったこの願いをめいっぱい楽しもうと思った。



それから俺達はいろんなものを食べた。
たこ焼きはもちろん、
スイカとかカキ氷とか、お好み焼きとかフランクフルト。

射的もやったし、くじ引きもやった。

絶対に射的のおっちゃんはイカサマだったけど、それでも凄く楽しかった。
ロイと一緒だと俺はこんなにも幸せなんだな…
今までなんで気づかなかったんだろう…

俺はめちゃくちゃロイが好き。


作品名:7月7日 作家名:おこた