7月7日
そろそろロイの足も心配だったから、空いていたベンチに座った。
もう日が暮れて暗くなってる。
飾りも光り輝いて幻想的な世界になった。
浴衣を着た人、親子、カップル。皆が笑ってる。
楽しそうな話し声がそこかしこから聞こえる。
飾りを見上げ目を輝かせてる。
「ロイ、ありがとな。」
「何のことだ。」
「七夕祭、一緒に来てくれてすっげぇ嬉しかった。」
「俺も楽しんでるさ。」
「でも、一緒に行く人居たんだろ?」
ロイには彼女が居る。
その子と来ることになってたはずだ。
俺はそれを邪魔しちゃったんだ。
今、俺は凄く幸せだけど。
きっとその子は辛いはずだ…
ごめん…
でも、今日で終わりなんだ。
今日でけじめをつけるから…
「ロイ、彼女出来たんだろ? おめでとう。」
「・・・・・」
「水臭いよな…言ってくれればいいのに。」
「なんの話だ。」
「は?」
「俺に彼女なんか居ないぞ。」
「嘘ッッ!!!!!」
嘘だろ!!!!
この期に及んでまだ俺に内緒にし続けるってのか!!?
「本当だ。」
「だっだって今朝、一緒に居たのは彼女じゃないのかよ!!」
確かに今朝、ロイは女と一緒に居た。
ロイが玄関から歩道に出てきて、それを迎えてる金髪の女の人。
確か、俺たちの学校の制服を着てて、肩につくくらいの髪の長さで…
「あっ…」
「あれはリザだ。」
最悪だ・・・・・・
リザさんを見間違えるなんて…
嘘だろ…
・・・でも、ってことはロイに彼女は居ないんだ。
「そんなことより…お前はどうなんだ。」
「へ?」
ちょっと気持ちが浮上したときだった。
俺のとってはかなり痛い質問―
「お前の惚れてる奴は誰だ。」
「・・・・・!!」
確かに俺に少しの可能性が出たかもしれない。
でも、だからって告白なんか出来ない。
恥ずかしすぎる。
さっきまでの飾りを眺めていたときの穏やかな気持ちの時だったらまだしも、
とんでもない勘違いが発覚した後のこの状況ではかなり厳しい。
「いっ言えない。」
「俺には言えないってことか?」
「そっそうじゃない…けど」
「だったら、」
「言えないっ!!!!」
あっしまった―
もう俺の頭は大混乱で思わず怒鳴ってしまった。
とにかく誤ろうとロイを見ると…
あのときの顔をしていた。