Truffle
──とは言ってもグルメとは程遠いハリーにとって、そんなトリュフを扱っているレストランを知っている訳がない。
ガイドブックを読んでもイマイチ要領を得ないハリーは、困った末にハーマイオニーの元へアドバイスをもらいに行くのが一番だと気付き、翌日彼女の勤めている病院のオフィスを尋ねることにした。
ハーマイオニーはピンクのマニキュアが美しい両手を組み合わせて、少し上を見上げていろいろ考えてくれた。
「……そうねー、トリュフと言えば、やっぱり『ザッフェラーノ』がいいかしら。トリュフのたっぷりかかったリゾットは本当に絶品なの。ものすごく濃厚な上に香りと味は最高よ」
「ええっと、それって有名店なの?僕には聞いたことがないレストランだけど?」
「ああ、イギリス料理じゃないから知らないかもね。イタリアンレストランなの。ミシュランの星を持つほどの老舗中の老舗だから、オススメよ。いつも同じメニュー、同じ料理に飽きているなら、尚更ね」
太鼓判を押されて、ハリーも頷いた。
「そこの店にするよ。ありがとう」
重ねてハリーはハーマイオニーに礼を言って、診察室をあとにしたのだった。