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永遠に失われしもの 第18章

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「これからどうされますか?」


 セバスチャンはシエルの問いに答えずに、
 尋ね返す。



 ・・駒に意見を求めるな、
 とそう言いたいんだろう?・・



 シエルは、しばらく青碧眼の瞳をテーブルの上の蝋燭に向けて、黙考している。


「伯爵、頼まれていた件だけど...」


 葬儀屋が飲み終えたカップをテーブルに置いて、シエルに話しかけた。



「ああ、
 聖ゲオルギウスの魂の調査はどうなった?
 やはり悪魔と契約し、悪魔に食われて、
 魂は回収できていなかったか?」


「ふぅん...その事なんだけどねぇ...

 死神図書館には、
 彼のシネマティックレコードは無かったよ
 実際」


「やはりな、悪魔と契約して魂を取られ、
 いまや彼の魂は、
 その悪魔の胃袋の中というわけか」



 肘をつきながら、口角を持ち上げて、
 シエルはにやりと暗く微笑んだ。
 葬儀屋は椅子から立ち上がり、
 シエルの背後に寄って、話し続ける。



「ヒヒヒ...だけど...死んだ様子も無いのさ」


「どういうことだ?
 聖ゲオルギウス伝説ですら、11世紀から、
 12世紀初頭に既に存在してるんだぞ?

 少なくとも、
 八百年以上前には死んでるはずだが?」


「ああ、そうなるねぇ...本当なら」



 葬儀屋は屈み、黒く長い爪でシエルの頬を傷が付かない程度に引っ掻く様に撫ぜる。



「小生は、聖ゲオルギウスが本当は、
 正真正銘のキリスト教徒でもなかったこと
 を知ってるよ...」


「何を言っている?
 聖ゲオルギウスは、
 法王庁の認めた聖人だぞ?

 しかも聖ゲオルギウスは、法王庁から、
 魔剣クラウ・ソナスを借り出して、
 悪魔討伐したことになっている。

 法王庁が、キリスト教徒でもないものを
 聖人にし、そんな大切なものを貸し出したというのか?」


「彼は...偽装していたのさ、
 潜り込むために、
 彼の信じるものの利益のために。

 彼はアルビ派、
 つまりカタリ派だったのさ。

 伯爵は彼らについて知ってるかい?」


 シエルの椅子の背に立ち、
 シエルの髪の毛を弄りながら、
 葬儀屋が尋ねる。



「いや、よく知らない」


「ヒヒヒ...勉強不足だねぇ...伯爵」


「勉強ぎらいでしたからね、ぼっちゃんは。

 詳しくお知りなりたければ、この邸の書斎にも相応の文献がございます」



 挑戦的な微笑をしながら、
 セバスチャンがシエルに言った。
 それに対し、
 シエルは不機嫌そうに口を尖らせる。



「あとで、案内しろ。読んでおく。
 今とりあえず概略を説明しろ!」



 ・・長く生きてるだけで偉そうにっ・・