永遠に失われしもの 第18章
「イルミナティを調べて、
聖ゲオルギウスを探し出す」
シエルは椅子に座りながら、指を組んで、
低く笑いながら、呟いた。
「そいつを殺ろうとすれば、契約者である
クラウ・ソナスを収める鞘の悪魔が、
直々にお出ましになってくれるだろう」
「小間使いの方は、
どうなさるおつもりです?」
セバスチャンは、主の紅く輝き始めた瞳を
暗澹たる眼差しで見つめながら、尋ねる。
「エリザベスの元に行く前に始末したいが」
「それは不可能かと」
「とにかくエリザベスを、僕に近づけるな、
彼女を巻き込みたくない」
シエルは毅然とした口調で、
セバスチャンに命じる。
「僕は書斎で、その何たら派について、
一通り目を通しておく。
お前はしばらく自室で静かにしていろ。
その代わり朝までに、
その怪我を治しておけ」
その言葉で、
グレルがぱちっと目を覚ました。
「では、後でお茶をお持ちいたし--」
「要らん」
「かしこまりました」
「チョット~監視に来てるんだから、
二人ばらばらになるんだったら、
アタシはセバスちゃんと寝る係ョ!」
グレルは椅子の上で、
思いっきり伸びをしながら、言う。
「ダメだ、貴様は僕を監視しろ。
うちの執事に手を出されては困る」
シエルは、セバスチャンにの手に捕まりながら、椅子から立ち上がって言う。
「ムカつく!なんでこんなガキに、
命令されなきゃならないワケ?」
戸口に向かうシエルの後について歩く、
セバスチャンはグレルに振り返って、
優しげに微笑した。
「主の命は、
静かにしていろという事ですので。
私とグレルさんでは、
燃え上がってしまうでしょう?」
「イヤ~ン、セバスちゃん、
むしろ、むしろそうしたいヮアタシ。
その言葉だけで、アタシのイケナイ場所は
ヒィーーートアァーーーーッップって、
置いてかないでョ~~~」
作品名:永遠に失われしもの 第18章 作家名:くろ