永遠に失われしもの 第18章
「アンタ、魔剣探してるんだって?」
書斎で暇そうにランプを弄るグレルは、
本を読むシエルに話しかけた
「それが、どうした。
邪魔するなら、出て行け」
本から目も離さずシエルは邪険に答えた。
「魔剣見つかったらどうするつもりなのョ。
どっかの悪魔を狩るの?それとも・・
ひょっとして、
セバスちゃんを殺るつもり?」
「僕がアイツを殺して何の得があるんだ?」
「フーン・・・じゃ何のために魔剣なんて、
探してるのよ。」
「くどいぞ、邪魔するなと言ってるだろう」
シエルはバタンと本を閉じて、
眉を上げ、グレルを睨みつける。
「アタシに命令しようったってムダよ、
ガキの言う事、
聞かなきゃいけない義理なんか無いヮ」
グレルは紅く長い髪をパサッとかき上げて
睨み返した。
「いいだろう、答えてやる代わりに、
貴様も僕の質問に答えるんだぞ。
・・・
魔剣で、僕が僕の生を終わらせるために
探してるんだ」
「ふーん・・・
アンタがもし死んだら、セバスちゃんは、
後を追うのかしら・・」
「アイツはそんなことするわけがない。
契約があるから、
僕に執事として尽くしている、
ただそれだけだ。
こちらの質問の番だ。何故、
セバスチャンを狩るのを止めたんだ?」
「アーその質問は、アタシが聞きたいけど、
上からの命令ョ・・
世界を変える可能性が云々って
よくわかんない理由ョ」
「世界を変えるって、僕か、セバスチャンか
それとも両方か?」
「ダカラ幾ら聞かれたって、
アタシにはわかんないってば・・
でもウィルもきっと聞いたって、
答えてくんないと思うけど」
シエルは肘掛にひじをつき、
頬杖をついて考え始めた。
「そしたら、
アタシも魔剣探すの、
手伝っちゃってもいいわョ・・
ウィルに内緒でネ・・
アンタが逝ってくれるなら、
セバスちゃんも解放されて、
アタシにビッグチャンスだしぃぃ」
作品名:永遠に失われしもの 第18章 作家名:くろ