読みたい小説
■設定■
主人公:リクト・R・カークランド(仮)
男/リドル世代。スリザリン生。ちょっと変わった一族出身。特殊能力(?)
※6歳から8歳にかけて年齢・性別不詳で出した(出された)レコードが話題になったらしい。暴れ柳に聞かせると大人しくなるとか。動物にもきく。
オリキャラ:エドガー・S・ジェンソン(仮)
男/主人公と同室。ちょっとした大貴族。
イケメン。ブロンドに緑の目(特に意味はない)
そこそこ目立つ、なんちゃってフェミニスト。
ジャスティン・ポッター
ハリーのおじいちゃん。ジャームズのお父さん。性格はジェームズを斜め45度に折り曲げて花を咲かせた感じ(自分でもわからん)頭はいい。グリフィンドール生。
トム・M・リドル
例のあの人。スリザリン生。
以下ファーストコンタクト(主人公とオリキャラ)
ドアを開けて唖然とした。イケメンがいる。とまどうリクトに、こっちを向いてちょっとびっくりしたような顔をしたイケメンがにっこり笑った。
「やあ、僕に用事かい?初日から男子寮に潜り込むなんて大胆だね。でも情熱的な子は嫌いじゃないよ」
殺意が湧いた瞬間だった。とりあえずにっこり笑ってドアを閉める。まっすぐ歩み寄ってへらりと笑い返す顔に一発お見舞いしてやった。
「同室のリクト・R・カークランドだよ。よろしく」
してくれなくてもいいが。イケメンと金持ちとリア充は死ねばいい。
これまた面食らったような顔をしていた少年だったが、すぐにどこぞの貴公子かというふうに微笑んで右手を差し出す。
「これは失礼したね。僕はエドガー・S・ジェンソン。これかあらよろしく」
握手を求められたのでしぶしぶ応じる。明らかに嫌々出した風体だったのに、相手はしっかりと手を重ねてきた。その少年らしくない節のある手にリクトは再度いらっとした。
日常(主人公とオリキャラ)
「ああ!そうだ」
隣を歩いていたエドガーが急に叫んだので、リクトはびくついて持っていた教科書を落としてしまった。
「なんだよ」
教科書を拾いながら傍目にはわからないように愛想のない声をあげると、エドガーはごめんごめんと軽薄な謝罪を返した。周囲に隠れて睨み付けると、エドガーは上から下までリクトをまじまじと見つめ、妙に納得した様子で頷いて見せた。どうやら勝手に自己完結したらしい。非常にむかつく。ひきつったリクトとは反対に、エドガーは至極上機嫌に爆弾を投下した。
「君ってさ、数年前にレコード出したことあるよね?それもマグル向けの」
リクトは瞬時に固まった。仮にもスリザリンのくせに何故こいつが知っている。マグルの娯楽に興味があるスリザリイン生なんて聞いたこともない。リクトの反応を肯定と取ったのか、エドガーは嬉々として話を続ける。
「うちの屋敷で大人気だったんだ。暴れ柳に聞かせると大人しくなるって執事が大喜びでさ、わざわざマグル向けの音楽プレーヤーまで買ったんだよ。あれ歌ってたの6歳くらいだよね?『天使の歌声』とか騒がれててさ、カークランド家の若君が歌ってるって一部の魔法族では有名だったし、最初は君のお兄さんの方かなって思ってたんだけど」
なおも喋り続けるエドガーに遠い目をしながら考える。つまり、結構あれを知っている魔法族がいるらしい。それって何て羞恥プレイ?暴れ柳に延々聞かせる自分の子供のころの歌なんて想像だけで死ねそうだった。
ファーストコンタクト(リドルと主人公)
「ここ、座ってもいいかい?」
読んでいた本から顔を上げると、コンパートメントの入り口の方で、かなりの美少年が微笑んでいた。瞳の色はちょっと変わっているが、鼻筋の通った甘い面差しは絵にかいたような正統派美形だと思った。
その少年を目にした瞬間、リクトの背筋が凍りついた。自分でも唐突すぎると思ったけれど、それはなんかもっと本能的な感覚だった。何故だろう、とてつもなく良くない気がする。まあ確かに身の毛もよだつようなイケメンだけえれども。リア充の匂いがぷんぷんするけども。それになんだか賢そう。あ、全部負けた。
あまり無言をつき通すのも怖いので(怖い?)、とりあえず了承だけ返すと新入生らしくネクタイのついてない制服を着た美少年が颯爽と前の席に乗り込んだ。なんか振る舞い一つでさえスマートな気がする。
とりあえずあまり目を合わせたくなかったので、本に熱中するふりをして視線を落とした。
古代魔術学←選択授業、名前は適当(主人公とオリキャラとポッター。主人公の家の話)
今日はとても古い魔術について話をします。
先生が話し出したのを聞いても、リクトは魔法史の内職をやめる気にはならなかった。「古代魔術」はむしろまじないに近く、昨今に伝わる杖を使った魔法のように確かな効力を発揮することは稀だった。強い魔法力を持った魔法使いの言霊にはそれなりの強制力が加わるが、それはここ英国よりももっと極東の島国の文化だった。一介の魔法使いが力いっぱい魔力を込めて言葉を叫んでも、杖という媒介なしの力は酷く曖昧で、ちゃんとした効果が現れたといった記録もほとんどなかった。まあマザーグースなんかが良い例といえる。あれはもともと魔法使いの呪歌だった。どんな効果を及ぼすのかはもう廃れてしまってわからないが、同じような効果を表す呪歌でも家によって曲調や呪詞が違ったりもしたらしい。大いにどうでもいい話である。
この程度の知識はリクトにとっては常識で、書き取る必要もなかったが真面目な生徒を演出するために一生懸命文字を綴る。魔法史の課題に。
退屈な授業だった。家の強制がなければこんな授業とったりしない。あの難解なルーン文字の方がよっぽど建設的な勉学に思えた。そんなことをぶちぶちと意識の斜め上で考えていたせいで、先生が「ではせっかくミスター・カークランドがいるんですから、実践して頂きましょう」といったのも寝耳に水だった。その発言にスリザリンの一部は静まり返り、グリフィンドールの大部分からは有難い野次を身に余るほど頂いた。
「おい!『歌姫』のカークランド一族直系、リクト・カークランドが一曲披露して下さるってよ」
「それは有難いね!いっそのことスリザリ全員で合唱したらどうだい?」
「どうせナメクジがダンス踊るみたいなとろくてふっるい歌しかないんだし」
「最近の流行に乗っておねがいしまーす!」
まさに水を得た魚のように喋り始めたグリフィンドールに冷たい一瞥をくれるも、ここぞとばかりにスリザリンの気に食わない奴を詰るのに忙しくて誰一人気づいた様子はなかった。
これは伝統と格式を重んじるスリザリン系の家系でも最も古いほんの一部の家の者しか知らない事実だったが、カークランド家はいわゆる呪われた血族だといわれている。本家直系の、とりわけ女系の血筋は『歌姫』と呼ばれる古(いにしえ)の呪歌に強制力を持たせることができる魔女をたまに排出した。これは珍しい例だが、リクトの母は鼻歌で武装解除ができる。ここに至る経緯をすべて語るのは非常に面倒なのでしないが、男子でも血が濃ければ濃いほど魔力が強く優秀な魔法使いになる確率が高かった。