Distorted Love
Distorted Love 3 ―帝人Side―
あれから静雄さんは、空いた時間を全て僕に使ってくれている。今も待ち合わせをしているわけで……。
僕はそんな優しい静雄さんに臨也さんの影を重ねてしまっているのかもしれない。
………このままではいけないこと位分かっている。だけど、臨也さんがいない世の中に今は恐怖しか感じられない。
「………………よお。」
「静雄さん……仕事はもう終わったんですか…??」
「あぁ。今日は早く終わったんだ。」
ぽつりぽつりとぎこちない会話が紡がれる。
静雄さんはいつもムリして僕を慰めようとしている。…………迷惑に思っているのだろう。
こんな関係はきっと双方利益を生まない。
「……静雄さん、もう終わりにしましょう。僕はもう大丈夫ですから。」
「…な…何言ってんだよ!!お前まだ臨也のこと………。」
「それは僕の問題です。静雄さんに迷惑をかけるわけにはいけない。」
「俺は…俺はっ!!迷惑なんか一つも思ってねぇっ!!俺がお前の力になれるなら何だってしてやる。言ったろ……ずっとそばにいるって。」
「……何でそこまで…僕なんかのために…。」
「『なんか』とか言わないでくれよ…。お前が臨也を想っているように、俺もお前が……好きなんだよ…。」
あれ程強い人が僕のために泣きそうな顔をしている。こんなに優しい心を持っている人が……。
「臨也と何があったかは薄々分かってるし、その後すぐに俺の気持ちを伝えるのは無神経だってことも分かってる。………だから今は俺を臨也の代わりだと思ってくれてかまわない。……でもいつか絶対臨也のこと忘れさせてやるから、俺を男として見てくれないか。」
…僕には断ることは出来なかった。この人の気持ちに応える資格なんかないのに。
それでも静雄さんは切なそうに笑っていた。
僕の胸は張り裂けそうだった…。
作品名:Distorted Love 作家名:ゴルベーザ