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ヅラ子とベス子のSM(すこし・ミステリー)劇場

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《付録4》ヅラ子のおもひでポロリ帳



ぽろり(1)

「……!」
そのとき、俺は持っていたノートを取り落とした。
――知らなかった、どうやら俺たちの先生の正体はまほーつかい、らしい、と甘党半眼天パくんの日記に書いてある、……いや盗み読みとかじゃなくってェ、ほら俺級長さんだからぁ、先生がちぇっくした提出ノート預かって、放課後教室戻ってくばってたら、一冊だけあきらかに『にっきちょう』(って表紙にデカデカ書いてあんだもんよ)でさ、コレは見るでしょー? フツー気になっちゃうカンジでしょー? ――……そんでナニナニ、あいつ先生とさー、……こっ、こーかん日記ィィィ?! 背中ゾゾーって、うわーーーって、そんでもう辛抱たまらんくて苦しくて苦しくて、笑い倒してアゴ外れてこりゃまじ氏にあるでと思ったのはおそらくあれで人生10回目くらいです。
でさ、俺はおもったわけです、――俺もまほーつかいになりたい! まほーつかいの弟子!! なんかすげくね? ちょーカッコ良くね? ……って、思えばあれが俺の女装子願望の始まりだったのかもしれないなァ、なんてね。だってさ、まほー男子ってあんまいなくね? テレビに出てくんのだいたい魔女子集団ばっかじゃんか? と思ったらそうだ実写でハリボタくんが出てきたけど、あの頃俺もうだいぶ成長しちゃってたからねー、三つ子のタマシイ的な意味でいまいち乗り切れなかった、ってゆーかぁ、つかさ、そもそも俺素ですでに若干魔女子ぽいじゃんか? あ、主役でなくて二番手三番手ラインね(笑) いんじゃん、黒髪無口でミステリアスでちょっぴりデムパ、的なね、絶対数は少ないけど濃いいワンフついちゃうタイプね。けどさー、やっぱどーせ魔女子やるなら真ん中でスポットライト浴びたいなーって、先生に弟子入り志願するときもとりあえずその条件で押したわけ、
――先生! 俺はセンターの取れる魔女子になりたいんですっ!
って、したら先生さー、困ったみたいに苦笑いして、
――私はまほーつかいじゃないし君を魔女子にすることもできませんよ、
って、当然こっちは「ええっ?!」ってなるわけじゃん? もしかして先生がまほーつかいということはアイツと二人のひみつなんですかっ俺は混ぜてくれないんですかっ魔女子じゃなくてミソっ子ですかっヒドイじゃないすか先生! 教え子差別だ! テラコヤス委員会にでんわしてやるっ!! ムキー!! ……てなカンジに俺がわーわー言ったんで、先生またまた困った顔してうっすら半笑いで、
――わかりました、まほーは教えらんないけど代わりにまじっくを教えてあげましょう、って、
――マジすかっ?! 俺は即食いついたね。だって“まじかる”と“まじっく”だろ、頭二文字は合ってんじゃん、そんなんほぼ同一じゃん、ホラ、コドモって単純だからさー、……そっからですよ、俺が先生にいろいろとまじっくを教わったのは。思い返せばアレのおかげで俺の逃避行生活はずいぶん助けられたものでした。追っ手をかわして一瞬で消えた!よーに錯覚させるまじっくとかね。まっ、光学迷彩布一枚あれば誰にでもできるんですけどっ☆
――魔女子コスかぁ……。最近やってねぇなぁ……。なんっかつい惰性でスリットチャイナばっか好んで着ちゃうんだよねー、あとパートの奥様スタイルとか(これは完全に趣味)。……そうだ! スゲェの思いついたぞ! 生活に疲れたさえないパートの奥様がナゾの宇宙生物に出会ってまじかるコスメぱわーを受け取ることでなんちゃってひとづまチャイナ美魔女にマジカルちぇんじしちゃうのさ! よぉっしコレだぁ!!! がぜん創作意欲がムクムク湧いてきたぞ! さっそくコス画デザイン興さなきゃ! エリー! アシスト頼んだぞっ!!


+++

ぴっころ(2)

俺はひとり、岩陰にしゃがみ込んでいた。夏草を揺らして風が野原をさわさわ渡る。太陽は天頂にある。真っ昼間なのに辺りには人の気配が感じられない。ひとつ息を吐いてみる。風がやんだ。鳥も鳴かない。自分の心臓の音が聞こえるんじゃないか、それくらい静かだ。――まるで反転した世界に俺一人取り残されたみたいに、……なんつってカッケー! 俺詩人!! いい気分になったので工作のじかんに作ったオカリナを吹く。ピッコラピッコラ吹きまくる、――てゆーかぁ、こんだけワザと目立つことやってんだからいい加減誰か俺を探しに来いよ! つかあいつらまたよそで別口でドロケイやってんじゃないだろうな? こないだも俺だけかくれんぼのテイで半日ばかし放っとかれたからな! いくら温厚でへいわ主義者の俺でもしまいにゃキレっぞ! ……イカンイカン荒ぶる魂よ鎮まりたまえ〜、俺はオカリナを吹きまくる、澄んだ音色にささくれ立ったココロが浄化されていく、――まっいっかぁ! な気分になる→オカリナを吹くのをやめる→無音→静寂→不安→苛立ち→オカリナ爆奏、ここへ隠れてもう何度、俺はこの無限ループを繰り返しただろう。やっぱり俺は世界に取り残された悲劇のイケメソ貴公子なのか?
「……。」
――決めた! 俺は岩陰を去ることにした。あとン十時間、この場で耐久レースに持ち込むこともやぶさかでなかったが、俺はもっと違うやり方を思いついたのだ。……フフン、このまま、誰にも見つけてもらえないまま黙っておうち帰っちゃうんだもんね! あとで皆が必死こいて探してても知らんふりしちゃうんだっ! どんだけ極悪非道だよ! 俺ってすっげーこと考えるよなーーーっっっ!!!
「……ふっ、フフフ、」
――ふはははは、なーんっちゃってねーーーーっっっ!!! 俯いたまま拳を握り、俺は己の想像力のたくましさに笑った。……笑ったさ、ああ笑ったとも、腹の皮がよじれんほどに、泣いてなんかいるもんか、固くつむった目尻の端からボタボタ垂れている透明な汁、だからこれはアレだ、……その、えーっと、心の清涼飲料水的なやつのあれだ、負けないアナタのでんかいしつほきゅう、舐めたらちょっとしょっぱくて、……んっ? やっべーっハナミズ多めに混ざりすぎかなアハハー、アハハハハー……、あーあーーあーーーあーーーーあーーーーーーッッッ!!!
いかん、マズイですぞこれは俺精神的にすっげー不安定になってきたっ! 来たよ! 来ちゃうよ!! デムパ受信しちゃうよ!!!

――ジジジジジ、ピコーンピコーン、