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ヅラ子とベス子のSM(すこし・ミステリー)劇場

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やがて小一時間ばかりが過ぎた頃、
――バン! 奥の部屋の障子が開く音がして、皆のいるりびんぐに肩に風切ったツッキーがずかずか戻ってきました。
「あ、良かったらお茶でも……」
気を遣ったメガネ少年が勧める間もなく、
――ばしーーーーーん!!!
ツッキーおねいさんは、ソファの上でぬへーっとダレている天パ野郎に思きしビンタを張りました。
「のっ、覗くなって言われたら義理でも覗いてやるのが礼儀ってもんじゃろがーーーーっっっ!!!」
――よくも乙女に恥かかせてくれなんしたな!!!
「……え?」
ソファから吹っ飛ばされ、頬を押さえて身を起こした天パおじさんはやっぱりぽかーーーーんとしていました。
「茶ァ!!」
「はっハイッ!」
せっつかれたメガネ少年が慌てて出したお茶をひと息にあおり、おねいさんはぷんすかしながら帰って行きました。
(……。)
――あーあ、あとで銀ちゃんの悪口いっぱい書いためーる送ってフォローしといてあげよう、やれやれまったくオトナはオトナで大変だなとしみじみ思うアルアル少女なのでありました。おわり☆


【23】泣いたマ夕゛おじさんおに

昔々あるところにアラフォーおじさんのグラサンおにがいました。おじさんはオニだったけどおじさんなのでもう大して力もなく、通りすがりの子どもたちにまで、
――やーいやーい!
石を投げられて馬鹿にされる始末でした。
今日もおじさんおには道脇で棒切れを持った悪ガキたちに囲まれていました。そこを偶然通りがかった一人のメガネ少年が気の毒に思って子どもたちを諭し、おじさんおにを助けてやりました。
「あっ、ありがとうありがとう、」
おじさんオニは涙を流さんばかりに両手を合わせてメガネ少年を拝み倒しました。それから、ぜひとも少年に何かお礼がしたいと言いました。
「いやそんな僕は……」
そんなつもりじゃありませんから、少年は丁重に辞退しましたが、おじさんおにの気はすみません。――どうしても感謝の気持ちを受け取って欲しいんだ、でも他に何もないから、おじさんは着ていたよれよれの半纏を脱いで少年に渡そうとしました。
「イヤ、あのこれは本当に……」
僅かに眉を寄せた少年がいくら拒んでも、おじさんはなお執拗に半纏を押し付けようとします。貰ってくれ、イヤそういうわけには、……そしてこの二人の押し問答から、やがて一つの慣用句が生まれたり生まれなかったりしたそうな。

『鬼の半纏』……貰っても処分に困るもの、不要なものの例え。

「……。」
結局、半纏の受理を固辞したまま、少年は去って行きました。往来に残されたおじさんオニは、静かにグラサンを濡らしてただ男泣きに泣きました。おわり。


【24】泣かないかぐたんおに

とおくてちかいどこかのほしのどこかのくにで、かぐたんはオニに生まれたけれど、ニンゲンとなかよくしたいと思っていました。
けれどニンゲンの側でかぐたんと同じように思ってくれる相手はまれでした。かぐたんを見るとたいていのニンゲンは怯えて逃げ出したり、何か叫びながらかたい尖ったものをぶつけてこようとしたりするのでした。
「ニンゲンとなんかなかよくしたって意味ないじゃないか」
しょんぼり落ち込んでいるかぐたんのせなかを見て、にこにこ笑いながらかぐたんのにーちゃんが言いました。
「……」
かぐたんは顔を上げました。にーちゃんおにはもっとにこにこへらへら笑いながらかぐたんに言いました。
「おれはニンゲンがきらいなんだ」
にーちゃんは風のように里へ下り、リアルに破壊活動を始めました。かぐたんはひっしで止めました。さいしょ、ものかげに隠れて様子を窺っていた里の人たちの間にも、そのうちかぐたんを応援してくれる声が上がるようになりました。にーちゃんはあいかわらず笑っています。かぐたんは鼻がむずむずしました。じぶんを罵る声を背に受けて、なおにーちゃんが笑っていられる理由がわかりませんでした。……いや、わかっているのかもしれないけど、だから余計にかなしくてしかたがないのでした。
「……勝負はおあずけだ、」
掴み合ったかぐたんの耳元に囁いてにーちゃんが言いました。にーちゃんおにはするりと手を解いてかぐたんの前から去りました。
かぐたんおにがわるいおにをたいじしたのです、里の人たちの歓喜の声がかぐたんを迎えました。里の住人として受け入れられ、いまではかぐたんにも気の合うニンゲンのなかまたちがおおぜいできました。のぞみがかなったのです。手に入れたはずのしあわせなのに、かぐたんのこころにはぽっかり大きな穴があいたままでした。
にーちゃんおには自分がニンゲンにきらわれることなんてなんともおもっていませんでした。それと同じようにかぐたんがニンゲンに好かれようが嫌われようが、にーちゃんにはどうでもよかったはずで、なのにわざわざあんな芝居を打ってまで、兄はじぶんに何をくれようとしたのでしょう。それともはじめから意味などなくて、いつものただの気まぐれでしょうか。
いくら考えてみても、かぐたんにはほんとうのところはわかりませんでした。
――だけどねにーちゃん、
星の降る夜空を見上げてかぐたんはおもいました。――にーちゃんがまたニンゲンを襲ったら、今度はじょうだんじゃなくてほんきでも、私はぜったいにーちゃんを止めてみせる、
「――……、」
だからいまはまだ泣いている場合なんかじゃないんだと、つめたい空に向かってひとり吠えるかぐたんなのでした……。どしりあすどしりあす♪