C+2
宣野座はこう語ったことがある。三國は変わったのだと。公麿と出逢い三國は変化しているのだと、そして一度別れた相手とはいえその変化は好ましく想うのだと、そして、彼を変えることの出来た公麿に自分は惚れているのだと言われたことがあった。
自分が三國の何を変えたのかは判らない、だが三國が変わったように公麿もまた三國よって変えられたのだ。互いに影響受けあっている。
「美味しいよ、これ」
「誰が作っても変わらないだろうがな……」
そう褒めれば自嘲気味に三國は笑う。
「違うよ。誰かが、誰かのために作ったモノはどんなモノだって美味しいよ」
そう力強く公麿が訴えれば、三國はぽんぽんと公麿の頭を撫でてた。
「遠回しにまずいって言う時にもつかえるよね」
「宣野座さん!」
ぼそりとトゲを持つ言葉に突っ込めば、宣野座は軽く舌を出して戯けている。
「これからも頑張ってみるかな」
その三國の呟きには、公麿も宣野座も揃って首を振ってしまった。
「お前等、そんなに信用ないか俺が……」
ないね。と断定する宣野座に、三國がまた怒っている。それだけは同意出来るんだけどなと、思いながら子供みたいな大人二人を公麿は眺めていた。
【終】