愛と友、その関係式 第18,19,20話
だが、今はこうでもしないと自分を保てない気がした。
「好き。――私は、姫条くんが好きだから」
言い聞かせるように繰り返す。もちろん、自分自身に。
――私は最低だ。
美奈子は目をつむる。自分に感じる嫌悪感の正体も、胸の痛みの正体も、瞼を開いてしっかり見つめれば答は目の前にぶらさがっているのだ。
それでも美奈子は目を閉じた。
何も言わず頭を撫でる姫条の手が優しくて泣きたくなる。
――卑怯者。
罵る言葉が一つ、美奈子のなかへ沈んで溶けた。
19話へ続く
作品名:愛と友、その関係式 第18,19,20話 作家名:花子



