二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐向け】西ロマ+米SS・5本セット

INDEX|4ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

ラムネのあぶく


 メジャーを体に巻きつけたまま、アメリカは体を捻る。じっとしているのは苦手だという自己申告通りの動きに、ロマーノは軽く彼の頭を叩いて制した。
「ちゃんと計んねーと、いいの出来ねーぞコノヤロー」
「うう……。分かってるんだぞ」
 イギリスに馬鹿にされたと泣きついてきたのが、一週間前。
 いつもTシャツにジーンズな姿を鼻で笑われ、今度の会議をバッチリ決めて驚かせたいと電話口でアメリカは叫ぶ。あまりの剣幕に負け、ロマーノは腕のいいナポリの職人を紹介する事になった。
「せっかくだから、靴も作るか」
 スーツにあった靴も重要だ。イタリアンレザーのいい店を頭に浮かべ、ぐったりとした男の背を叩く。それに力なく頷くと、アメリカは「もう何でもいいよ」と溜息をついた。
 アメリカらしくありながら、伝統を守ったデザイン。それを職人と話しつつ、横目で疲れきった大きい子供を見やる。何より伝統を重んじるイギリスには、ちゃんとした格好でなければ太刀打ち出来ない。そう理解していても、型にはまった行為は苦手なのだろう。若さゆえに弾ける彼には、採寸ですら苦痛になるらしい。
「ほら、アメリカ。レモネードでも飲めよ」
 コーヒーを出そうとしてくれた店員に話し、甘めの飲み物に変更して貰う。汗をかいたグラスを手にすると、少しだけアメリカの表情が緩んだ。
「こういった色はどうでしょうね」
「ああ、これはいいな」
 職人の出す布地を触り、色を確認する。採寸だけで疲れきった男の代わりに、ロマーノが製作の話を決めていった。元々彼の色彩感覚が微妙なので、これは仕方が無いと思う。
 それにしても、体格のいいアメリカは何を着ても見栄えがする。あれもこれもと様々な布地とアイディアを出す職人達に、ロマーノは笑顔で対応し続けた。
「安心していいぜ。こいつ、金はあるから」
「ちょっと、ロマーノ!」
 高価な布地も使いたい放題で腕が奮えると喜ぶ人々の横で、アメリカは慌ててロマーノの腕を引っ張る。やや涙目な表情ににっこりと笑うと、ロマーノは友人の頭を感謝で抱き締めた。
「お前、最高のパトロンだよ!」
「こらあああああ!」
 ちゃっかり商売する友人に怒るも、疲れて力が入らない。アメリカは抱きつくロマーノの背中を叩いて抗議するが、話は勝手に進んで行った。