Grateful Days
侘助は皮肉っぽく言った。つまり、一度切り取られた思考である自分達は本来の肉体に宿る精神とは微妙に違う。それなのに助かる必要があるのか、ということを彼は言っているのだろう。確かにうたかたの存在だ。助かるとは何をもってそう言うのか、といえばそうだった。
しかし健二は「はい」と頷いていた。
「正気に戻ったとき、今得た情報が本体にフィードバックされるんだったらいいと思うんですけど、そうじゃなかったら、また最初からやり直しです。僕たちの存在が今、アドバンテージなんです」
「…どうやって、呼ぶんだ? 誰を?」
とりあえずは同意することにしたらしい侘助の質問に、リスは頷いた後答えた。
「それはもちろん、OZの王様です」
作品名:Grateful Days 作家名:スサ