【かいねこ】鳥籠姫
「ほう、男性型でしたか」
「ええ。カイトという名前です。カイト、お客様に歌を」
ディンブラに促され、カイトは驚きながらも、何時も通り歌い始めた。
澄んだ歌声が客間を満たし、まるで時が止まったかのように、風のそよぐ音さえ聞こえない。
世界の全てが聞き惚れるかのような歌声が終わると、玉露は拍手を送った。
「これはこれは、素晴らしいものを聞かせて頂きました」
「いや、お気に召して頂けたようで、何よりです」
得意げな様子のディンブラに、玉露は身を乗り出して、
「しかし、あなたのコレクションには、更に素晴らしい物が揃っていると聞きましたが?」
胸元に下げられた首飾りが、触れ合ってかちゃりと鳴る。
ディンブラは、その妖しい輝きに目を吸い寄せられながら、
「ええ、もし、宜しければ・・・・・・」
「是非、拝見したいですね」
玉露は立ち上がり、いろはに手を振った。
「ああ、お前はここにいなさい。人形同士、話も合うだろうから。構いませんね?」
最後はディンブラに向けたものだが、公爵は玉露の首飾りに意識を奪われたまま、
「ええ、もちろん。そうでしょうとも」
「どれほどの物か、期待しておりますよ」