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【かいねこ】鳥籠姫

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いろはがカイトと会ってから、十日ほど経った頃。
いつものようにキャンディが香を炊き、カイトは童話を読んでいる。
違うのは、時折キャンディが話しかけると、カイトがそれに相づちを打つことだった。

「郵便局の隣に住んでいるご夫婦、子供が生まれたそうよ。男の子だったみたい」
「そうですか。無事に生まれて、良かったですね」
「ええ、そうね。旦那さんが随分」

その時、勢い良く扉が開き、ディンブラが飛び込んでくる。

「カイト!私の幸運の女神!!いや、お前は男だから、女神ではないな」

上機嫌な笑い声をあげながら、ディンブラは鳥かごの鍵を開けた。

「さあ、出てきなさい。新しい服を仕立てなければ。あまりみすぼらしい格好をして、彼の機嫌を損ねては大変だからな」

困惑しながらも、カイトはおずおずと扉に近寄る。
キャンディも、訳が分からないといった様子で、

「一体、どうなさったのです?何かあったのですか?」
「何かあっただと?ああ、そうとも!私の生涯で、これほどの幸運に恵まれたことなど、あっただろうか。あの異国の魔道士、偏屈で有名なあの男の手による魔道具が、ついに手に入るのだ!!」
「え?あの、玉露様の?」
「そうだ!かの高名なる魔道士!あの偏屈で人嫌いの変わり者!!彼が、カイトと引き替えに、魔道具を作成することに承諾したのだ!まさか、これほど早く事が運ぶとは!!お前を手に入れたかいがあったというものだ!」

ディンブラは、強引にカイトを引っ張り出すと、きつく抱きしめた。

「さあ、おいで!私の幸運の青い鳥!彼に引き渡すまで、あまり日がない。それまでに、羽の手入れをしておかなければ」

カイトは、半ば引きずられるようにディンブラに連れて行かれる。
キャンディは、慌てて香炉を片づけると、二人の後を追った。

作品名:【かいねこ】鳥籠姫 作家名:シャオ