【かいねこ】鳥籠姫
その夜、籠の中で放心状態のカイトに、キャンディが声を掛ける。
「カイト、疲れた?」
「あ・・・・・・いえ。ただ、あまりに目まぐるしくて」
「そうね。私も驚いたわ。随分な浮かれようだったもの」
キャンディは、一端言葉を切ると、
「嬉しい?」
カイトは、ぼんやりと視線を宙に向けた。
「そうですね・・・・・・何だか、急すぎて。まるで夢を見ているようです。朝日が昇れば、何もかもが消えてしまうのではないかと、そんな気がして」
「それだったら、私達、同じ夢を見ているのね」
キャンディはくすっと笑うと、寂しげな顔をして、
「あなたにとっては、これ以上ないほどのお話だと思う。でも、あなたがいなくなったら、寂しいわ」
しかし、カイトはキャンディの様子に注意を払わず、ただ、
「いろはさんに、早く会いたいです」
と言う。
「そうね。すぐに会えるわ。もうしばらくの辛抱だから」
キャンディは俯き、呟くように言った。