【かいねこ】鳥籠姫
アッサムとカイトは客間に移動すると、無言で椅子に腰掛けた。
重苦しい沈黙の中、しばらくして玉露がやってくる。
一番掛け心地の良さそうな椅子に、どさりと身を投げ出すと、
「他の使用人も、軒並み眠らされてるな。あの女の仕業だろう。全く、素人が強引な掛け方をしやがって。寝覚めは最悪だろうな」
「キャンディさんが・・・・・・」
信じられない様子で呟くカイトに、玉露は頬杖をついて、
「何が目的かは知らんが、時間をかけて準備していたみたいだな、あの女」
見知らぬ部屋の中、両手両足を縛られたいろはは、台の上に転がされていた。
何もない床の上に魔法陣を描くキャンディを睨み付け、
「何をしても無駄なんだからね!マスターがすぐ来てくれるんだから!!」
いろはの言葉に、キャンディは手を止めずに微笑み、
「これで完成するの。これで夫は戻ってきてくれるの。そうしたら私達、今度は鳥かごの中で暮らすのよ。何処にも行かないで、二人だけで」
「あ、あなたなんかに、儀式が完成させられる訳ない!!マスターが言ってたもん!!難しい儀式が出来るのは、マスターだけだもん!!」
じたばたともがくいろはに、キャンディは顔を上げて笑い掛け、
「大丈夫よ。あなたが手に入ったのだから」
と言った。