【かいねこ】鳥籠姫
「旦那?」
玉露の問いかけに、カイトは頷き、
「はい。キャンディさんは、旦那さんを亡くしていると話してくれました。もしかしたら、そのことが関係しているのではないかと」
「死者蘇生か。また黴臭い儀式を引っ張りだしてきたものだな」
溜息をつく玉露に、アッサムが、
「どうする?次の満月まで、あまり日がないぞ。急いで対策を練らないと」
「馬鹿が。そんな悠長なことをしてられるか。魔法陣を完成させたら、すぐ儀式に取りかかるだろうさ」
「え!?なっ、でも!!」
混乱するアッサムに、玉露は呆れた表情で、
「お前、本当に魔道士か?あんなもの、時間稼ぎに決まってるだろう。真に受けるな、馬鹿」
「だ、だけど、生け贄が」
「いるだろ、いろはが」
玉露がさらっと言うと、アッサムとカイトは息を飲んだ。
「カイトの魔力が不自然に高まってる。元々は、カイトを生け贄に使うつもりだったんだろう。いろはは魔道士の修行中だから、常に魔力の高い状態だ。そのつもりだったのか偶然かは知らんが、いろはのほうが、儀式の生け贄にはうってつけだな」
「そんな・・・・・・!」
カイトが悲痛な声を上げ、アッサムは身を乗り出すと、
「それじゃ、なおさら急がないと!!お前、二人の居場所は分からないのかよ!?いろはの魔力を元に、探し出すとか!!」
「お前が静かになったら、集中して探せるんだがな」
玉露は、うんざりした顔をアッサムに向けて、
「お前は存在が足手まといなんだから、これ以上邪魔をするな」
「・・・・・・返す言葉もございません」