【かいねこ】鳥籠姫
再び、アッサムとカイトは息を詰めて、玉露を見守る。
永遠とも思える沈黙の後、玉露はふーっと息を吐いて、
「・・・・・・気は進まないが、時間がない。一度しか出来ないから、俺一人で行く」
「え?危険すぎるだろっ。俺も一緒に」
「お前がいるほうが害悪だ」
アッサムの言葉に、玉露はしっしっと手で払う仕草をして、
「そもそも、お前を連れてこなければ、ここまで事態は悪化しなかったしな」
「・・・・・・おっしゃる通りです」
「僕も連れていってください」
カイトが口を開くと、玉露とアッサムは驚いたように顔を向けた。
「お願いです。僕も連れていってください」
カイトが重ねて頼むと、玉露は首を振って、
「役立たずは残っていろ」
「僕も、連れていってください」
「くどい。いろはを助けたいなら、分を弁えるんだな」
「やめとけよ。遊びじゃないんだぞ」
アッサムが、カイトの腕を引っ張る。
だが、カイトは真剣な顔で、
「僕の代わりに、いろはさんは浚われました。僕は、彼女を助けに行きたいんです」
「足手まといだ」
そう言って一蹴する玉露に、カイトは、
「・・・・・・天才のあなたでも、出来ないことがあるのですね」
「おい、馬鹿、やめろって」
アッサムが腕を引っ張るが、カイトは構わず、
「いろはさんが言ってました。あなたは天才だから、出来ないことはないのだと。けれど、あなたにも出来ないことがあるのですね」
次の瞬間、玉露は立ち上がり、カイトの胸ぐらを掴んで、
「出来る。俺は天才だからな」
「お、おい!やめろって!!」
「僕も連れていってください」
動じずに言うカイトに、玉露はにやりと笑った。
「いいぜ。来いよ、鳥籠姫。お前の望む結末に書き換えてやる」