【かいねこ】鳥籠姫
「いろはさん!!」
「んん!?」
カイトは台の上に寝かされていろはに飛びつき、その体を引きずり下ろす。
キャンディは、放心した様子でヘたり込むと、玉露を見上げた。
「どうして」
掠れた声に、玉露は溜息をついて、
「・・・・・・素人が。召還を伴う儀式でもっとも注意すべきは、魔界への通路を開く時だ。どれだけ遮断しようと、この時だけは、魔力の流れが生まれる。それだけは防ぎようがない。だからこそ、魔道士は秘密利に儀式を執り行うんだ」
じろりと、キャンディを睨みつける。
「通路が開く瞬間、こちらから干渉させてもらった。魔道に関しては、俺の方が上なんでね」
その時、異形の魔物が不明瞭な音を発し、玉露が同じ様な音を返す。
玉露はキャンディへと視線を戻し、ふと表情を曇らせた。
「命が残っただけ、ありがたいと思えよ。生きていれば、いつか目覚める時がくるかもな」
キャンディが口を開きかけるが、言葉を発するより早く、彼女の体が崩れ落ちる。
玉露はキャンディに背を向け、魔物に向かって音を発した。
魔物は微かに身を震わせると、かき消すように姿が見えなくなる。
ふうっと息を吐いて、玉露は振り向くと、
「いつまでそうしてるつもりだ。帰るぞ」
いろはの戒めを解こうと、悪戦苦闘しているカイトに声をかけた。