【かいねこ】鳥籠姫
「夕べは何処に行ってたんだ、全く。一人で勝手にうろつくなと言っただろう」
「ごめんなさい、マスター。でも、私、本物の鳥かご姫に会ったんです!本物の!!」
「ない。童話と現実を混同するな」
玉露の言葉に、いろはは聞く耳を持たず、
「凄く綺麗で、歌も上手なんです!でも、本物の鳥かご姫は、男の人でした」
「男は姫じゃないぞ、王子だ」
「でも、鳥かごに入ってたんです!それに、私と同じ人形でした」
「人形は飛ばないだろう。鳥かごに入れてどうするんだ」
「マスター、私、もう一度会いに行きたいです」
「そうか。で、その鳥かご姫は、何処にいるんだ?」
玉露に聞かれて、いろはは言葉に詰まる。
「え、えっと、あの、多分そんなに遠くないところです!大きなお屋敷で、部屋の中に鳥かごがあるんです!!」
「知るか。帰ってくる時、見なかったのか?」
「あの、道が分からなくて、移動の魔法陣を使いましたから・・・・・・」
「ああ、そうか。此処に帰ってくるのは出来るんだったな。それじゃ分からん。諦めろ」
「で、でも!約束したんです!」
「何処にいるか、分からないんだろう?」
「でも、約束したんです!!」
いろはがごねにごねるので、玉露は諦めて、アッサムに「大きな鳥かごに入っている人形」のことを聞いた。
アッサムはすぐに、「ディンブラ公爵の屋敷にいる」と返す。
「有名だぞ、あの公爵の収集癖は。特に魔道具に目がないとか」
「一般人が集めてどうすんだか」
「いや、そうだけどさ。何、公爵んとこの人形が、どうかしたか?」
「いろはがうるさいからな」
「またそれか。本当、いろはには甘いのな」