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Surprise!

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ベルゼブブは佐隈の返事を待つ。
しばらくして。
「……昨夜のことがあるから、プロポーズするんですか?」
いつもよりも低い声で佐隈が聞いてきた。
「はい、そうです」
素直にベルゼブブは答えた。
すると。
「だったら、お断りします」
佐隈がきっぱりと告げた。
ベルゼブブは眼を見張り、顔をあげ、佐隈を見た。
正面の、手をたいして伸ばさなくても届く範囲に立っている佐隈は、不機嫌な顔をしている。
もちろん、断られることも覚悟していた。
だが、実際にそうなると、やはり、ショックだ。
「私と結婚するのは嫌なんですね……」
ベルゼブブはガックリと肩を落とし、うつむいた。
今すぐ魔界のベルゼブブ家に帰って自室のベッドに直行し上掛けを頭までかぶって寝てしまいたいぐらいの気分である。
しかし。
「そういうことじゃ、ありません」
佐隈は堅い口調で否定した。
え、と思い、ベルゼブブはまた顔をあげる。
「では、どういうことなのでしょう?」
「つまり、ベルゼブブさんは昨夜あったことの責任を取るつもりなんですよね?」
「はい」
「夢見すぎだって思われるかもしれませんが、私は私のことをちゃんと好きな人と結婚したいです。義務感からだけで結婚してもらいたくはありません」
佐隈は顔を背けた。
口を少し尖らせている。
その横顔から怒りが感じられる。
ベルゼブブは慌てた。
「そういうことじゃ、ありません!」
さっき佐隈が言った台詞を、今度はベルゼブブが言った。
「じゃあ、どういうことなんですか?」
佐隈は横を向いたままで、表情をゆるめずにいる。
だから。
「たしかに自分のしたことに対して責任を取らないといけないと思いました。でも、それだけではないのです」
ベルゼブブは切々と訴えるように話す。
「おたがい、ひどく酔っていました。酔った勢いでしたことです。そう言い訳することもできると思いました」
記憶はないが、自分は酔った佐隈に無理強いはしていないはずだ。
「しかし、どうするか考えているときに、ふと、頭に浮かびました。さくまさん、あなたと共に暮らしている光景を想像しました。そして、それも悪くないと思ったのです」
「悪くない……?」
そうオウム返しで問いかけてきた佐隈の声は、いつもよりも低い。
ベルゼブブはハッとした。
「言い間違えました。正しい表現ではありませんでした」
すぐに訂正する。
「それもいいかと思った、い、いえ、違います」
この表現も良くないと判断して、即座に言い直す。
「それがいいと思ったのです!」
「……それは、つまり?」
「さくまさん」
ベルゼブブは言う。
「私はあなたのことが好きです。プロポーズしたのは義務感からだけじゃない。これから先ずっと、私の一番そばにいてほしいと思ったからです」
自分と佐隈が一緒に暮らしている。
魔界の自室にいて、その光景が頭に浮かんできたとき、ふっと心がなごんだ。
それが現実になったらいいと思った。
だから、今、佐隈に言ったことは嘘ではない。
本心だ。
ようやく佐隈がこちらを向いた。
ベルゼブブは良い返事を期待する。
けれども。
「それでも、やっぱり、結婚はお断りします」
また拒否された。
作品名:Surprise! 作家名:hujio