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無傷の11月26日

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 傑は幼い弟ではなく今の駆に向けてパスを送り続けたのだ。
 それを駆は諦めなかった。
「交代を言い渡されるまで、駆はずっと傑にパスを要求し続けてたんです」
 夜の公園で何度負けても立ち上がり「もう一度」という顔で走りだす姿が頭の奥によみがえる。
 それは明るいグラウンドになり、走る先はゴール前。
 ディフェンダーの裏から飛び出して目で要求するのは勝負の続きではなく、傑からの手加減なしのパス。
 それを「辞める」と言ってこぼした涙が塗りつぶしていく。



作品名:無傷の11月26日 作家名:3丁目