新 三匹の子豚Ⅲ
トンタの家を出て自宅に戻ると、待っていたブーとフーに言いました。
「トンタおじさんは信じてはくれなかったよ」
ウーはそう言うと、トンタとの会話のあらましを兄たちに話して聞かせました。
「だから、僕行ってくるよ。三日月のトラに会ってくる」
「会ってどうするつもりなんだ? ヒヒじいさんも言ってただろう、恐ろしい奴だって。お前なんか一口で食われちゃうかも知れないんだぞ! それでも行くのか?」
ブーがそう言いましたが、ウーは引きません。
「そりゃあ確かに恐いさ。僕だって食べられるのはイヤだよ。でももしかしたら、話して分かってくれるかも知れない。奴から本当のことを聞いて、真珠のネックレスを取り返さないと、トンタおじさんはウルフルくんを犯人だと決め付けたまま、きっと一生許さないかも知れない。そんなのウルフルくんが可哀想過ぎるよ」
「やっぱりな。そう言うと思ってたんだ。なあ兄さん」
そう言うとフーはブーへと目配せし、にっこり笑いました。
「えっ」
驚いたウーが兄たちの顔を見比べます。
「お前のことだから、きっとそう言うと思って待ってたんだよ」
そう言ってにっこりブーも微笑みました。
「兄さんたち……ありがとう」
ウーは目頭が熱くなるのを感じ、ぐっと歯をくいしばりました。
「馬鹿だなあ。俺たちは兄弟じゃないか。どんな時だって助け合うのが当然じゃないか。なあ」
ブーの言葉を受けてフーも言います。
「そうだよ。お礼なんて言うことないさ。兄弟なんだから」
「兄さん……」
ウーが、思わず零れそうになる涙を手で拭うと、ブーが勢いよく言いました。
「さあ、行くぞ!」
ブーとフーは部屋の隅にあらかじめ用意しておいた鍬や斧を手にすると、ウーにも一本持たせました。
「こんなものでも多少は役に立つだろう」
「うん、そうだね」