新 三匹の子豚Ⅲ
三匹が連れ立って表に出ると、驚いたことに村中のみんなが立っています。それも手に手に鍬や斧を持っています。その中にはトンタの姿もありました。
「みんな、一体どうしたんだよ」
ウーが驚いてみんなの顔を見回しました。
「三日月のトラをやっつけに行くんだろう?」
一人がそう言うと、みんなが口々に言います。
「俺たちも行くぜ!」
「トンコ婆さんは私たちの仲間なんだ!」
「そうだよ。仲間の敵を討つんだ!」
「みんなで一緒に行こうぜ!」
「そうだ、そうだ!」
わぁーっと一斉に喚声が上がりました。
「みんな、ありがとう」
ウーは嬉しくて胸がいっぱいになりました。
すると、みんなの中からトンタが進み出てきて、ウーの前にすっくと立ちました。
しばらく互いの瞳を見つめ合った後、トンタの手を握ってウーが言いました。
「トンタおじさん……」
トンタの瞳には、先ほどまでのような怒りは消えて、穏やかな優しさが漂って見えました。
――きっとおじさんはウルフルくんを信じる気になってくれたんだ――そう思ったウーは、胸が何かで溢れてこぼれそうになるのを感じました。
「ウー、おらには本当の犯人が誰なのか知る権利がある。そうだろ? おらは息子なんだから」
「もちろんだよ。おじさん!」
そう言って二人は互いに微笑み合いました。
「――じゃあ行こうぜ!」
誰かの声を合図に、一斉にみんなが歩き始めました。知らないものが見たら、一体何の行進だろうかと思ったでしょうね。
しかし彼らの目は真剣で、その足並みには闘志が溢れているように見えました。