新 三匹の子豚Ⅲ
一行が村外れまで来た時、何とウルフルが自宅前に立っているのが見えました。それも手には鎌を持っています。
それを目にしたウーは小走りで駆け寄りました。
「ウルフルくん、どうして……」
ウーが問いかけるとウルフルが答えました。
「さっき村から知らせをもらったんだ。カンガルーのおばさんの話も聞いたよ。だから、君ならきっと来ると思って待ってたんだ」
そう言うとウルフルはニカッと笑いました。
「ああ、さすが僕の友達だ! 分かってるね。じゃあ一緒に行くかい?」
「もちろんそのつもりだよ! 自分の無実はきっちり証明したいからね」
そこからはウルフルも行列に加わりました。
みんなでぞろぞろと歩いて、ようやく森の入り口付近まできた時、少し先の木の根元に一頭の大きなトラが寝そべっているのが見えました。
どうやらそこは陽当たりがいいので、軽く微睡んでいるみたいです。微かに寝息が聞こえてきます。
「あいつだよ」
列の後ろの方からカンガルーのおばさんが走り出てきました。
「ほら、眉間に三日月の傷痕が見えるだろう?」
少し震える声で言いました。
それを聞いたみんなが僅かに後退りしたように思えました。――みんな怖いんだよなあ――と思ったウーは、みんなを振り返って言いました。
「みんな、ここから先は僕一人で行きます。みんなは取り合えずどこか木の陰にでも隠れていて下さい」
「ええーっ!」みんながどよめきます。
「それは危険だよ!」
誰かがそう言うとみんなが頷きました。
「うん、そうかも知れない。でも大勢でいきなり行ったら、それこそ驚いたトラが何をするか分からない。だからまずは僕が一人で行って奴と話してみるよ。で、もし僕が襲われそうになったら、その時はみんなで助けに来て欲しいんだ」
「分かったよ、ウー」
誰より先にウルフルがそう言いました。
「でも、君を一人では行かせない。俺も一緒に行くぜ! 元々は俺のために……、それに俺たちは友達なんだから」
ウルフルがそう言って口を閉じると、すかさずトンタが前へ出てきました。