新 三匹の子豚Ⅲ
「やいやい! そのネックレスはなあ、おらのお袋の物なんだぞ! なんでお前が持ってるんだよ」
いきなり激しい口調でトンタが口を挟んでしまいました。
「なんだとー! お前、俺様に喧嘩を売るつもりかー」
一瞬にしてトラの顔つきが変わりました。
「ち、違いますトラさん。どうか落ち着いて下さい」
ウーが必死でトンタを抑えて言いました。
「俺様を舐めたようなことを言ったら絶対許さないからな。しっかり覚えてろ!」
そう言うとトラは、「ガオーッ!」と腹の底から吐き出すような恐ろしい鳴き声を浴びせました。
「トラさん、お願いです。落ち着いて僕の言うことを聞いて下さい」
「ふふうん。まあ、そう言うなら聞いてやらんことはない。――で、なんだ? 何が聞きたいんだ?」
「トラさん、トンコ婆さんを知ってますよね」
「ん? トンコ婆さん……?」
トラは少し考えているようです。
「知らないはずはないでしょう。あなたの首についてるそのネックレス。それの持ち主なんですから――」
「ああ、そうか。このネックレスの……。あの時のばばあがトンコ婆さん……。なるほど、そういうことか」
トラが「ばばあ」と言った時、またトンタの足が一歩前へ出ました。咄嗟にそれに気付いたウーが腕を伸ばして制止したのですが、トンタの口からは口惜しそうな歯ぎしりの音が聞こえていました。
「トラさん、そのネックレスをどうしてあなたが着けているんですか? その理由を教えてもらいたいんです」
「なあーんだ、そんなことか……」
そう言うとトラは、さも下らないとでも言うように「チッ!」と舌打ちをしました。
それを見たウルフルの怒りに火がついたようでした。
「お前、トンコ婆さんを殺したのか!」
激しい口調で、ウルフルが怒りにまかせて言い放ったのです。
「うん? ずいぶん生意気な口をきくじゃないか。お前たちは一体何者だ?」
「俺はウルフル。お前のせいでトンコ婆さんを殺した犯人にされたんだぞ!」
ウルフルの目は怒りでギンギンに燃えています。
「僕はウー。トンコ婆さんは僕たちのたった一人のおばあちゃんだったのに……」
ウーは口惜しさと悲しさがない交ぜになって、涙が零れそうになりました。
「お、おらは息子のトンタだい!」
「ほーう。ということは何かい? お前ら揃って、俺様に仕返しをしに来たってわけかい。ふぁっはは!」
トラは馬鹿にしたような笑い声を立てました。