新 三匹の子豚Ⅲ
「あ、あれだ!」
誰かが叫びました。
みんなが急いでその方へ視線を向けると、少し先の木の根元に、横向きに倒れているトンコ婆さんの姿が小さく見えました。
「みんな急げー!」
誰かの号令とともに、みんなが一斉に走り出しました。
「トンコ婆さん、どうした! 大丈夫か? しっかりしろっ!」
みんなが口々に声を掛け、その身体を揺すってみますが、トンコ婆さんはピクリともしません。
「ぅわぁーん。トンコ婆さんが死んじゃったようー」
そう言って誰かが泣き出しました。
そうなると、さあ大変! みんなもつられて「ぅえーん、ぅえーん」と泣き出してしまいました。
みんながいい加減泣き疲れた頃、誰かが言いました。
「このままじゃ可哀想だよ。おうちに連れて帰ろう」
「そうしよう、そうしよう」とみんなも賛成して、さっそく力を合わせて、トンコ婆さんの身体を抱えて家まで運びました。
そしてすぐにお医者さんのメイメイ先生が呼ばれました。
みんなが見守る中、ヤギのメイメイ先生が言いました。
「これは……きっと何かに襲われたんでしょうなあ。可哀想に……もう手遅れです。残念ですが……」
メイメイ先生の診断を聞くまでもなく、亡くなっているのは誰の目にも明らかでした。だってトンコ婆さんの首には何者かがガブッと噛み付いた跡がしっかりついていたし、片方の足はすでに肉の部分が食べられてしまったのか、一部骨が見えているところもありましたから……。
「誰が……誰がやったんだよー」
息子のトンタが泣き叫び、
「絶対許さねえ! 必ず犯人を捕まえて仕返ししてやる!」
そう断言しました。