新 三匹の子豚Ⅲ
その夜、村のみんなに見送られ、しめやかにトンコ婆さんのお葬式が執り行われました。
みんなが悲しみに沈んでいる中、トンタが独り言のように言いました。
「おらが悪いんだ…おらが隣村へなんか行かせなければ…こんなことには……」
「……トンタ、悲しいのは分かるが、お前のせいなんかじゃないよ。そんなに自分を責めるな」
村の長老のマントヒヒのヒヒじいさんが、諭すように優しく言いました。その時です。
「あっ! ない。お袋がいつも肌身離さず付けていた真珠のネックレスが無くなってる!」
トンタが声を上げました。
「あれは先祖代々、我が家に伝わる家宝だったのに……お袋の自慢のネックレスだったのに……」
そう言うとおいおいと泣き出しました。
みんなは掛ける言葉も見付からず、ただじっと見守っていました。
少しすると、それまで下を向いて泣いていたトンタが急に顔を上げ、部屋の隅で小さくなっていたウルフルにキッと冷たい視線を投げつけました。
「お前だろう! お前がお袋をやったんだろう! 正直に白状しろ!」
いきなりそう言ったトンタの言葉に、ウルフルは愕然とした様子で目を見開き、トンタを呆然と見つめたまま返す言葉も出てこないようです。
ウルフルが何も反論しないものだから、トンタは益々興奮して、
「やっぱりそうなんだ! 図星だから何も返答できないんだろう」
そう言うと、ウルフルに掴みかかろうとしました。
危ういところでそばにいた数人がトンタを止めましたが、ウルフルは顔を引きつらせ震えています。
「本当なのか? 本当にお前がやったのか?!」
誰かがそう言うと、その場にいたみんなが一斉に疑いの視線をウルフルに向けました。
「お、俺はやってない。本当だよ。俺はたまたま見付けて、みんなに知らせなくちゃと思って、必死で走って来たんだ。……本当だよ。信じてくれようー」
震えながらそう言うと、ウルフルは泣き出してしまいました。
「そんなこと信じられると思うのか! お前は前科者じゃないかっ。前科者の言うことなんて信じられない」
激しくトンタが罵りました。
「確かに俺は前科者だけど……だけど改心したんだ。本当だよ。本当にトンコ婆さんを見つけただけなんだ。俺はやってないよー!」
ウルフルが必死で訴えました。
「でも……第一発見者が一番怪しいって言うしなあ」と、また誰かが口を挟みました。
「そうだ、そうだ。本当はウルフルがやったに違いない!」
また違う誰かが言いました。