新 三匹の子豚Ⅲ
ウーは家を出ると、一人で村外れのウルフルの家へ向かいました。
すでに外は薄暗くなっていて、村外れまでの道は誰も歩くものもなく、ひっそり静かで、少し怖いくらいです。
トンコ婆さんを殺した犯人がすぐ近くにいないとも限りません。そう思うと、ウーの足取りは次第に早くなっていきます。
ようやくウルフルの家に着いた時には、ハアハアと肩で息をするほどです。
玄関ドアの前で軽く深呼吸をすると、ゆっくりドアをノックしました。ところが何の返事もありません。
「ん? いないのかな?」と思っていると、いきなりドアが開き、その向こうには、目を真っ赤に泣き腫らしたウルフルがぼうーっと立っていました。
「あのう、ウルフルくん、僕……」
ウーがそう言うのを遮るように、ウルフルが声を絞り出しました。
「帰って」
その言葉に一瞬ウーがたじろいだ隙に、ウルフルがさっとドアを閉めようとしました。
「待って! 違うんだ」
慌ててそう言うと、ウーはがっしりドアを掴みました。
「僕は君を信じてるんだ!」
力強くそう言ったウーの瞳を、ウルフルがしばしじっと見つめます――。
「――入って」
それだけ言うと、ウルフルはウーに背を向けて中へと入っていきます。
少しだけホッとしたウーが、その後ろを追うように中に入りドアを閉めました。
居間に入ると、ウルフルが顎をしゃくって「そこへ」とだけ言いました。
ウーは指定されたソファーに掛けると、少し俯き加減に、慎重に言葉を選びながら言いました。
「あのう、さっきはごめん」
「……」
「みんなは君を疑ってるみたいだけど、僕は違うから……」
「……?」
「僕は、君があんな酷い事をするとは思ってないから! それなのにさっきは庇って上げられなくてごめんよ。あまりにもみんなの勢いが凄くて、何も言えなくて……。僕、その事をとても後悔してるんだ。だから、この気持ちだけでも伝えようと思ってやって来たんだ。こんな時間だけど……」
「……」