新 三匹の子豚Ⅲ
ウルフルの家を出たウーは、ほとんど駆け足状態で帰路を急ぎました。
もう辺りは真っ暗で、一旦家の灯りが途切れると、次の家までは月明かりだけが頼りでした。
それでもどうにか無事に帰り着き、玄関のドアを開けると、心配して待っていたブーとフーが飛び出して来てウーを迎えてくれました。
「お帰り、ウー。ちゃんと帰ってこれて良かった!」
「そうだよ! 本当に心配してたんだから」
兄たちの言葉に、家を出た時の怒りも忘れ、ウーは素直に謝りました。
「兄さんたち、ごめんなさい。心配かけて……。でも僕、やっぱり行って良かったよ。だってウルフルくん……」
そこまで言うと、またウルフルの泣いてた様子を思い出してしまい、ウーは喉に何かが絡まったようになり、鼻の中もジーンとしてきて何も言えなくなってしまいました。
そんな様子を見かねたブーが言いました。
「まあ、いいから。さっ、入ろうよ」
フーがウーの肩を抱き、居間へと導きます。
居間のソファーに掛けて少し呼吸を整えた後に、おもむろにウーが話し始めました。
「兄さんたち、僕、決めたんだ。ウルフルくんは絶対に犯人なんかじゃない! だから本物の犯人がいるはずなんだ。僕はどんなことをしてもその犯人を見つけるよ。ウルフルくんのために、そして彼の名誉のために……」
そして少し控え目な声で、
「――兄さんたちが反対しても」と言いました。
すると、すぐにブーが応えました。
「ウー、俺たちも考えたんだ。ウーが出掛けた後に。そして決めたんだ。俺たちもウルフルくんを信じるよ! だから三人で力を合わせて本当の犯人を探そうよ!」
「兄さん! それ本当?」
ウーが身を乗り出してそう問うと、今度はフーが応えました。
「もちろん本当さ。オイラたちがついてるんだ。安心しろ!」
フーがそう言って胸を叩きます。
「うーん、フー兄さんじゃあなあ、頼りになるかなあ?」
そう言ってウーが笑いました。
「何をー! 言ったなあ」
そう言ったフーも笑い、二人を見るブーも優しく微笑んでいました。
その後三匹は、どうやって真犯人を探すかを相談しました。