BOKORI TITLE 10
10:鼻血
ヒバリさんが突然。鼻から出血あそばした。あれは、確か取引中の出来事。周りに人いっぱいいて、それもこの先なめられちゃあちょっとオレ的にもヒバリさん的にも面白くない団体さんたちで。その人たちの前でオレは誰よりもヒバリさん自身よりもはやくヒバリさんの変化に気づいた。手を鼻下にやって出血を確かめたヒバリさんの一瞬の隙。ここにつけこまれちゃあいけないヒバリさんのプライドのためにも断じて。だからそれは、多分神様や仏様やリボーンにとってもイレギュラーなスケジュールだったにちがいない。
でも、それしかこの場を切り抜ける打開策はないといったんだ脳ミソが。
オレは鼻血を出したバリさんの頭を、周囲に鼻血を悟らせる暇を与えないコンマ数秒で抱き締めて、一応世界共通語であいしていますって言ったんだ。周囲の気をそらせるくらいショッキングで、すぐ思い付く言葉、それしかなかったんだよ。
取引はオレ、ボンゴレが完全にイニシアチブ握って上々に終わった。周囲もヒバリさんも茫然自失。男同士の告白劇を強制的に見せられた方々&演じさせられた人のショックに漬け込むなんてもう笑っちゃうくらい簡単だった。
でも、まさかこれがあの人と付き合う切っ掛けにまでなるとはなんだか、なんなんだか。
人生ホントわかんないよね。
作品名:BOKORI TITLE 10 作家名:夕凪