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コドモダケノモノ

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3.
(今度は何を教えてくれるのだろうか)
 当の昔にベッドの中へ潜り込んだものの浮かれた気持ちが眠ることを妨げていた。
(サガって変わった人だな……)
 ぼんやりとそんなことさえ思う。サガはそこに居るだけで誰かしらに声をかけられている。誰かに声をかけるようなことはあまりしない。いつも誰かから声をかけられている。そんなサガが自ら声をかけるのは大体が自分であったような気がする。
(なぜだろう……?)
 シャカは口の聞き方や態度が生意気だと年上の者に注意を受けたりするほど可愛げがあるタイプではないということは判っている。それなのにサガは怒るどころか、こましゃくれたことを言っても平然と受け止めてくれている。今度聞いてみよう。でも、もし本当はこんな話し方が嫌いだったとしたら。
(どうしよう)
 そう思いだすとどんどん寝付けなくなってしまったシャカである。結局眠るのを諦めて、こっそりベッドから抜け出すと外の空気を吸いに出た。監督者に見つかれば懲罰ものであるため、人目のつかぬ場所を目指し、気配を殺して向かった。
 道の途中すれ違う雑兵を上手く交わしながら、目的の場所に辿りついたが、既にそこには人の気配があった。聞こえてくる声は聞き覚えのある者だった。



「……へぇ。そりゃまたおまえ、よく我慢したな?内心はらわた煮えくり返ってたんじゃないのか」
 アイオロスだ。快活に響く声とともに笑いがあった。
「まぁ…それなりにな。相手は子供だし、悪気があったわけでもないだろうし」
 もうひとりはサガだった。一体なんの話なのかとても気になってしまった。盗み聞きなどと下劣な行為だと恥じるけれども、気になるのは仕方がなかった。
「悪気がなかったとして、好意だったら……なおのこと拙いんじゃないのか?」
「それはそうだな」
「ま、よくわからないけれども。頑張れよ、サガ。そろそろ俺は戻る…じゃあな!」
「おやすみ、アイオロス。ああ、そうだ!明日の闘技場での訓練あるから、組み合わせ表よろしく!」
「了―解っ!おっやすみー!」
 話の内容さえわからぬまま二人の会話は終了してしまったことにシャカはひどく残念に思った。岩陰に隠れたままシャカがはぁ…と小さく溜息をついた時だった。
「出ておいで、シャカ」
「え……?」
 丁度シャカが背にしていた真後ろの岩場の上からサガの声が降ってきたのだった。慌ててシャカが立ち上がるとしゃがみ込んで覗く、優しげな笑みとともにシャカに向かってサガの手が伸ばされた。

作品名:コドモダケノモノ 作家名:千珠